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【星】

日本では天の川は、天の河、天の戸河(あまのとかわ)、天の安の河(あめのやすのかわ)とも。 これらの名称は「古事記」「万葉集」にもみられ、七夕伝説は「万葉集」「竹取物語」などにも見られる。英語圏ではMilky Wayと呼ぶ。 由来はギリシャ神話の女神ヘラの乳が流れた「乳の河」のことである。ギリシャ語ガラクスィのガラは乳。似た考え方ではモンゴルの「マンザン・グルム女神の乳の流れ出たもの」というのがある。 またケルト、アイルランドの伝承では光の神ルーの「ルーの鎖」という呼び方がある。エジプトでは「イシス女神が持つ麦の穂を落としたもの」、いずれも白色の光の帯から連想された名前のようだ。 詳しい語彙はわからないがアボリジニのダーエン民族は「ワーランブール」と呼ぶ。

アラビア圏でも河とみなされていたようで「天の川を渡った星と渡らなかった星」という 起源の古い説話物語の伝承がある。 アラビア語で天の川はダルブ・アルテッバーナ。仲良しの3つの星、アル・アビュール(シリウス)、スハイル(カノープス)、 もうひとつはまだ名前がない(プロキオン)で、天の川の向こうへいって遊ぼう、と天の川を渡ったが 名前のない星だけ渡れず取り残され泣き出し、姿もかすんだ。それでプロキオンには 「アル・ゴメイザ」(泣きぬれた目) という名がついた(現在のゴメイザは小犬座β星)

南米インカでは、マユ(天の川)の中の黒い部分(暗黒星雲)を星座のようにみなしていた。望遠鏡での天体観測を行ったガリレオ・ガリレイは「星界の報告」の中で天の川は 「実際は重なりあって分布した無数の星の集合にほかならない」と述べた。



アカボシ 赤星 明星

日本の伝承にある星の名前。明け方に東の空に見える金星、 明けの明星(みょうじょう)をさす場合と、赤い星として有名な、さそり座のアンタレスAntaresをいう場合がある。 神話伝承では、天津赤星(あまつあかぼし)という、金星の神がある。天津甕星(あまつみかぼし)という神名も金星の神としてある。

平安時代の中期、源順(みなもとのしたごう)が著した「倭名類聚抄(わみょうるいじゅしょう)」には星、天体に関して15項目あり、 「日、陽烏(やたがらす)、月、弦月(ゆみはりづき)、満月、暈(かさ)、星、明星(あかほし)、長庚(ゆうつづ)、牽牛(ひこぼし)、織女(たなばたつめ)、 流星(よばいぼし)、彗星(ははきぼし)、昴星(すばるぼし)、天河(あまのかわ)」となっている。かなり漢字と読みがハイブリッドになっているが、ここでは明星が木星、長庚が金星である。木星もかなり明るい星なので 「あかほし」が使われたのだろう。

「あかぼしの声もさこそはすみぬらめ」(弁内侍 べんのないし 鎌倉中期の女流歌人)


祭壇座 (altar) 

古代ヘレネス(ギリシャ)の星座。プトレマイオス(トレミー)の48星座のひとつにもはいっている。南天の小星座。蠍(さそり)座の南に位置し、夏8月上旬の午後8時ごろ南中、地平線上に見える。日本から全部は見えない(沖縄付近でも南寄りのごく一部分が見えない)。 Araは学名(ラテン語)。古くからある星座のわりには有名な神話伝説はともなわないようだ。

ヒュギーノスHyginusの「Astronomica」には、この祭壇は神々の鍛冶キュクロプス(サイクロプス)が造ったものだという。 ゼウスと、クロノスやティタン神との戦い(ティタノマキアー)の際、ゼウス側の結束にこの祭壇が役立ったようだ。その後、人々は何かをする際、天のこの祭壇にささげものをするのだという。

ギリシアの詩人アラトスの星座詩「星辰譜」に、犠牲を捧げるものとうたわれる。


牧夫座 Bootes

古代ヘレネス(ギリシャ)の星座。プトレマイオス(トレミー)の48星座のひとつ。春の星座。6月頃うしかい座流星群がみられることがある。人の姿をあらわす星座(αβγδεの描く菱形が主体)。アルファ星はアークトゥルス(1等星)。 ひじょうに目立つ星(レグルスやスピカの2倍半明るい-零等星ともいう)でいろいろな伝承がある。絵図などでは片手に槍を持ち、革ひもでつながれた2匹の猟犬(りょうけん座)をつれている。 この人物ははっきりしておらず、伝承もいくつかある。

・熊にかえられている母カリストー(おおくま座)を追いかける息子アルカス  (しかしアルカスは小熊 こぐま座になった) ・二輪戦車を発明したアテネ王エリクトニウス(ぎょしゃ座関連) ・忠犬メーラの主人アテネ王イカリオス(おおいぬ座関連) ・天を肩にかついで支える巨人アトラス(天の北極に近いから)

ちなみにボーテス(ブーテス うしかい座)の名の言葉もよく意味がわからず、ラテン語で「かしましい」「さけぶ者」の意味 だというが、これは熊を狩りたてるときの勢子の掛け声だともいう。古代ギリシャの詩人ホメロスの「オディッセイア」に「しずむにおそきボーテス」とうたわれている。これは3月に東の空に姿をみせるときは横向きだが、10の初旬西の空に沈むころは直立した形なので、東から のぼるころは1時間であらわれるのに、しずむときは2時間もかかるかららしい。

アルクトゥルスは珍しく天球上の位置が大きく変わる動きをしていて、トレミーの時代と 現代では満月の直径2.5個分ずれているという(1年間で角度の2.3秒南西にうごく。約800年で満月の直径分移動)。 おおくま座の尾、北斗七星についてまわることに由来する名前らしい。(「熊の番人」の意味)おもしろい逸話があり、1900年頃ドナチという大彗星があらわれ、彗星の尾が地球にふれると大変ではと人々を不安にしたが、 アークトゥルスの前を横切った時、明るい光が彗星の尾を通して輝いて見えたので、このほうき星の尾がきわめて希薄で、 地球にふれても大丈夫だろうとわかったという。

ミラクは黄色の2.5等星と青色の5.0等星が並んだものが望遠鏡でみえる。美しいので、ロシアの天文学者ストルーベが この二重星をプルケリマ(最もうつくしいもの)と名付けた。

日本:「麦星」ムギボシとよばれる。6月の麦の刈り取りの時期に頭上に輝くかららしい。  江戸時代の俳句「麦星の 豊の光に 覚しけり」(揚水) 中国:「大角星」青龍(さそり座)の2つの角の片方。


猎户座 Orion

ヘレネス(ギリシャ)神話の、オリオン座で有名な巨人、狩人。たいへん 美男子、美形のようだが、大変な女好きのようだ。 ポセイドンとミノスの娘エウリュアレの息子というが別説もいろいろあるようだ。キュクロプスやアンタイオス、オリオンたちは巨人といっても人間との恋や争いも人間と同じで 人間とそれほど変わらないともいう。ヘカトンケイルたちのような神々との戦いに加わるような 巨人とは違うとブルフィンチは述べている。

以前は荒っぽい狩人オリオン ギリシャ神話の原初にすでに伝承にあった巨人。 アロアダイの巨人少年オトス、エピアルテスよりも、とても美しかったという。女神アルテミスの乙女団、7つ星のプレイアデスを 成していた半神の乙女たち 狩人オリオンに追いかけられたので鳩(プレイアデス)に変えついには両者を星座にかえて しまったという。(プレイアス プレアデスの単数形 マイアもその一人 ヘルメスの母 産婆の意味  アルカディアのキュレネ山の洞窟に住んでいた) ある説では追いかけたのは、プレイオネという娘一人とも、その娘たちであるともいう。 ともかく女性達をボイオティア中、5年または7年間追い回したという。 野鳩(プレアデス)を追いかけた狩人の話が原型ではないかという推測もある。この系譜の物語では、クレタ島の狩人たち「ザグレウス、ブリトマルティスを追いかけた」 ミノスと類似している。 ボイオティア地方では別な巨人狩人の物語 タナグラに「蜜蜂の男」の意味の名前ヒュリエウス( 客あしらいの良い男だという)が住んでいた。クロノスの時代から神々は蜜(酒?)に酔っっていた。オリオンの物語ではヒュリエウスではなくオイネウス、オイノピオン という名前の王がいる。オイノス(ぶどう酒)に関連してるという。(これはヒュリエスとタナグラに属する都市ヒュリアがヒュロン[蜜蜂の巣箱]に関係していることと類似)

ヒュリエウス、またはオイノピオンの元へ3人の神々訪れる いくつかパターンがあるようだがゼウス、 ポセイドン、ヘルメス の名があがる。犠牲に供せられた雄牛の皮に精液を流し満たした袋状のものを地中に埋めるよう 宿の主人にいいわたした。十ヶ月経って大地より巨人オリオンが生まれたという。子供のいない宿の宿の主人に子供を 贈ったのだという。キオス島の伝承ではぶどう酒で酔ったオリオンは義父オイノピオンの妻メロペを強姦して しまったという。 あるいはメロペはオイノピオンの娘とも。またはメロペに求婚し彼女を得るためキオスの野獣を退治したという。しかしオイノピオン が約束を破ろうとしたので メロペの部屋に押し入ったという。あるいはオイノピオンが荒っぽいオリオンを酔わせて眠ってるうちに眼をつぶし海岸に捨てたとも。精液を出す(または放尿の意味とも)のウーレインからオリオンが派生したという名前の 由来の説もある。

ポセイドンの息子である関係か、 海の底を歩く能力、または海を歩くことができたといわれる。目をつぶされたあと、鍛冶の音をたよりに、海を歩くことができる助けもあり、 ヘパイトスの元へたどりつき、そこのケダリオンという職人に太陽の宮殿に連れて行ってもらい、 太陽神にあい、その光で目の傷が癒え、見えるようになったという。星座になったことを信じないホメロスらによれば かつて地上で殺した動物たちを冥界のアスポデロスの野で青銅の棍棒を手に狩り立てているという。 他の文化圏では以下のような捉え方をされている。 オシリス神:古代エジプト レイチュー:ミャンマー マゥンインサンイダン:ミャンマー(オリオン座の3つ星、天秤を担いだ少年) ベライ・ベライ:アボリジニ:オリオン座の剣帯(3つ星)と剣 若者たち

古代苏美尔人把这些星视为一只绵羊。参宿四的拉丁名Betelgeuse意为“腋窝”,其实指的就是“绵羊的腋窝”。在中国古代,猎户座是廿八宿之一,即“参宿”。“参”是从"三"的大写“叁”演变而来,指猎户腰带上的三颗星。古埃及人认为这些星是奉献给光之神──奥西利斯的贡物,一些学者认为,猎户座与金字塔有密切联系。


雷古勒斯 Regulus

ヘレネス(ギリシャ)の神話星座、黄道十二星座の1つ、獅子座の一等星。α(アルファ)星。しし座の明るい星として呼ばれていた。または獅子の心臓とも。「Regulus」はラテン語で「小さい王、小王」の意味。1559年の記録がみられる。レグルスの呼び名は、地動説で有名なコペルニクス(ポーランドの天文学者,聖職者)が命名したという。

黄道上に位置するため(1/2 6しか離れていない)、古くから「王の星」とよばれ、星占いにとって重要な星だったという。なお、古代オリエントでも、レグルスは伝説上の「天球の王」、アッカド名「アミル・ガル・ウル」だった。レグルスは古代から観測されていた。BC2000年頃のバビロン粘土版の観測の記録から、古代ギリシアの天文学者ヒッパルコスがBC130年頃に春分点の前進を発見した。 赤径で2h(経度が28 1/43)変化していた。

仙后座 Cassiopeia

仙后座是埃塞俄比亚国王克甫斯的王后卡西奥帕亚的化身。王后常在人前夸耀自己和女儿安德罗美达的美貌连海神之涅瑞伊得斯也不如她们,因而激怒了海神波塞冬。国王和王后不得不将爱女献给海王,幸好被英雄珀尔修斯所救。后来,海神被他们所感动,把国王和王后都升到天界,成为星座。王后在天上深感狂妄夸口不好,所以成为仙后座后,仍然高举双手,弯着腰以示悔过,绕着北极旋转,以求人们原谅她那无知造成的过错。

その美貌を自慢しすぎたためポセイドンの怒りをかったという。 それは「海のニンフ、ネーレイドたちでも美しさでかなうものはいない」といったため、 ネレイデス(ネーレイド)の一人でポセイドンの妃アンピトリテーがポセイドンにカシオペアを懲らしめるようにいったので 海の魔物ケートスがつかわされた。魔物はペルセウスによって退治された。

後に、アンドロメダ、ケフェウス王、くじら座などと一緒にカシオペアも星座になったが W形の星座は椅子に腰掛けた女性が逆さに吊るされた姿をあらわし、かすんでよく見えず永久に罰せられているともいわれる。


龍座 Draco

古代ヘレネス(ギリシャ)の星座。プトレマイオス(トレミー)の48星座のひとつにもはいっている。(黄道北側21星座のひとつ)北天の大型星座で、ヘルクレス座の足元から北へ西へと折れ曲がりながら星を連ね、 こぐま座を半周、とりまくように北斗七星の近くに尾を滑り込ませた位置。黄道の極はこの星座のδ(デルタ)星の近くにある。 ほぼ一年中、北の空に見えているが、宵の北の空高く昇って 見ごろとなるのは夏のころ。 星座中心部は8月上旬の午後8時ごろ南中する。 ギリシア神話では、 ヘラクレスの12の難行のうちの11番目で、 ヘスペリデスの花園で黄金のリンゴの木を番する火を吐く竜ラドン。竜の尾の中ほどに輝く3等のα(アルファ)星ツバーン(トゥバン アラビア語:竜、蛇の意味)は、 紀元前2796年には北極星だった。地球の歳差運動のため移動する北極星は、現在はこぐま座αである。。


琴座 Lyra

古代の楽器、竪琴。またはヘレネス(ギリシャ)の神話に語られる星座。こと座(琴座)。 七夕や夏の大三角で有名な織女星ベガがある。楽器としては、「古代メソポタミア・エジプト・ギリシャなどで用いられた竪琴[たてごと]。 共鳴胴に2本の支柱を立て、これに横木を渡して数本の弦を張ったもの」とされるようだ。

lyreは古フランス語lire、 またラテン語lyraはギリシャ語lyraに 由来するという。 ギリシャ語でも不確かな起源の外国語に由来するとされるようだ。天文・星座のライラ、リラ、こと座(琴座)は、ギリシャ神話で、 アポロンが、息子で琴の名手の オルフェウスに贈った 黄金の竪琴(たてごと)が天空にあげられたものという。 夏の宵に頭上に見える星座で、七夕の織女星ベガが牽牛星アルタイル とともに有名。 青白色の美しい0.0等星ベガが琴を飾る宝石で、4個の星が形づくる小さな平行四辺形が 弦を張った部分と見られている。同じ、星・星座に、東洋では、織姫と彦星の恋物語があり、西洋ではオルフェウスと エウリディケの悲しい物語が あるのは面白い。


北極星 Polaris

北半球の多くの地域で、北の方角の目印としてきた、天の北極近くに輝く星。日周運動でほとんど動かず、いつもほぼ真北に見えているので、昔から方位を定めるのに利用されてきた。中国では北辰、和名では「子の星(ねのほし)」 「一つ星(ひとつぼし)」などと呼ばれる。英語のポラリスはラテン名「stella polaris(極の星) 」に由来。

小熊座のα星。光度は2.0等で、連星。距離は400光年。こぐま座としての神話伝承はあるが、北斗七星に比べ、名前や星座の形象からくる物語は多くないようだ。

世界各地の北極星の名前 ヌートイトック(動かぬ星の意):イヌイット ホトゥグ・スルス:サハ(北東アジア) シャマン・エク:マヤ(中南米) stella polaris(極の星):ラテン語 子の星(ねのほし 北の星の意):日本 北辰(北の星の意):中国


ボウワ

インドネシア東部セラム島ヴェマーレ民族の女神、月(ラビエ)と太陽(トゥワレ)の娘。セラム島はインドネシア東部マルク州モルッカ諸島南部の島。太陽と月の娘ボウワに関する神話は女性の生理・月経の起源神話で、 ある時、太陽トゥワレが大洪水をおこして人間を滅ぼそうとした。娘ボウワは母ラビエ(月)の銀の褌(ふんどし)をとって、非難した。 そして大地は元通りになったが、女性に生理がはじまったのだという。


クラーテル(クラテリス  Crater) コップ座

ヘレネス(ギリシャ)の神話・伝承の星座、プトレマイオスの48星座の1つ。紀元前から知られている星座。日本ではコップ座と訳されたが意味的にはおかしい。 南天の小星座で、乙女座の南西、獅子座の下にあり、5月上旬の20-21時ごろ南中する。

ラテン語で「混ぜるもの」の意。英語では火山の火口クレーターのこともいう。1860年以降は月のクレーターのことも指す。 クラーテルはワインと水を混ぜるための器(薬も混ぜたようだ)で、壷、取っ手と台のついた大きな杯の形をしている。 古代ギリシャ(ヘレネス)では、クラテルkraterはワインを水で割るための壷、ヒュドリエは水用、アンフォラはワイン用と細かく分かれていた。

古代エジプトでは、ナイル川の洪水が最高位に達し、引き始めるころクラーテル座が上がってきたので、その時期を知る星座 として重要だった。


グロアペリキイエ

南アメリカ中部パラグアイのアピポネス民族の伝承における 偉大な神。名前は「祖父」の意味。この神は天の星のプレアデスのことで、これを祖先と考え 誇りにしていた。

Chironキロン)

ヘレネス(ギリシャ)神話にでてくるケンタウロスの賢者。賢く聡明で、医術、音楽、狩猟等に通じ、 アキレウスやイアソンなど多くの英雄たちの育て役となった。誤ってヘラクレスの毒矢に射られて亡くなったが、天にあげられて射手座(サジタリアス)になった。1977年に発見された、土星と天王星の間にある小惑星キロンの名は、このケイロンに由来する。

双子座 Gemini

ヘレネス(ギリシャ)の神話に語られる星座。黄道十二星座の1つ。北半球の冬の星座。ふたご座の物語にはカストルポリュデウケス(ラテン語ポルックス)が語られる。ゼウスが白鳥の姿(白鳥座)でスパルタ王妃レダと交わりに産ませた2つの卵から、 1つからは女の双子(トロイのヘレン、後のアガメムノンの妻クリュテムメストラ)が、 もう1つからは男の双子(カストル、ポルックス)が生まれた。二人はそれぞれ武芸の達人で勇名をはせていたが、メッシナのイダス兄弟という悪者と戦った時、勝利したものの、 カストルが流れ矢に当たり死んでしまった。弟ポルックスはゼウス神の子で不死だったが、ゼウスに「生まれた時も一緒 だったので死ぬときも一緒に」と願い、天にあげられて星になった。

α星がカストル(1.6等星)、β星にポルックス(1.2等星)の名がついている。カストルの足元には双眼鏡でもわかる美しい星の集まり、散開星団M35がある。


Sirius 天狼星

地球から見える恒星で最も強く輝く星。大犬座(Canis Major)の主星、α星。 世界各地で神話伝承がみられる。特に西アジア、 地中海世界(ギリシャ、エジプト)、 インド、中国まで「犬星」といった同じ様な扱いをされているのは面白い。 ギリシャ神話ではオリオンの犬

シリウスSiriusはラテン語で意味は「光輝くもの」「焼き焦がすもの」。ギリシャ語 セイリオスSeiriosが由来。 古代エジプトではソティス。夏至のころ、ソティスが太陽とともに東天から昇ってくる 日を年初(夏至正月)とした(太陽暦の始まり)。 毎年この頃にナイル川の水量が増し始めることを知ったという。「ナイルの星」 「イシスの星」として崇められた。古代西アジア(中東)地域では「太陽の犬星」とよばれた。英語では「ドッグスターDog Star」。夏至の頃はこの星にちなみ ドッグデイズ DOG DAYSといわれる。

古代ギリシアやローマ時代さらに中世ヨーロッパでは、夏の酷暑や熱病などを もたらす不吉な星とされたこともあった。 アラビア名は「輝く星」(アル・シラAl- Shi'raあるいは アル・シァラ・アル・ヤマニアAl-She'ara Al-Yamania)、 中国名は「天狼星」。

ホメロスはイリアスの中でシリウスの光をアキレスの鎧の銅色の輝きに なぞらえた。 ギリシア名はオシリスと関係があるとも アラビア名アル・シラ ヘブライ人はエジプト名シホールと呼んだ RHアレンによればフェニキア人 ハンナベア(ほえるもの)

カルデア人 カク・シシャ(指導する犬星) ドウ・シシャ(指導者) バビロニア カクシ[サ]星:海の水を量るもの バビロンの楔形文字でカク・シ・ディと呼ばれた 銅に似た輝きと述べられた カッカブ・リク・ク(バビロニア 犬星 カル・ブ・サ・マス(アッシリア 太陽の犬 ムル・リク・ウド(古いアッカド語 太陽の犬星 サンスクリット語 スーリァ(太陽神)輝くもの 古代ヴェーダ チシア チシュトリァ(指揮をとる星) 雨の神、雨の星、猟師の星とも。 リグ・ベーダの中ではシバナム(犬)は「空気の神々を目覚めさせ 雨をもたらすかれらの仕事に呼び寄せる…」

中国 天狼星

アボリジニ 鷲(ワシ)

1700年頃のフランスではシェニール chenille(毛虫)と呼ばれたり、 英語ではlittle dog(子犬 ラテン語のcanicula 犬から)と 呼ばれたようだ。


ソティス

エジプトの神話伝承でシリウス星のこと、神。太陽神ラーの妹だという。 ピラミッド・テキストに「ソティスはわが妹にして、明けの明星はわが子なり」 とある。ソティスはナイルの洪水のはじまりを告げる星としてあがめられた。太陽が昇る直前にあらわれる頃ナイルの氾濫はじまる イシスの化身でもあったという。 夏至のはじめの雨は「イシスの涙雨」といわれた。


髪毛座 Coma Berenices

ラテン語名「コーマ・ベレニケス(ベレニケーの髪)」。1601年に新設された新しい星座。 しかし、名前の由来は古い神話伝説をもとにしているようだ。デンマークのティコ・ブラーエが新しく加えた星座。 北天の小星座。しし座とうしかい座の間、乙女座の北にある。5月下旬の午後8時ごろ南中する。 由来となった伝説は、2000年以上前のエジプト王エウエルゲテスの妃ベレニケが、夫がアッシリア遠征にいく際、勝利と無事を 女神アフロディテに祈り願い、かなうならば外国まで美しさが評判になっている琥珀色の髪を美の女神に捧げると誓った。やがて王の勝利のしらせが届くと、王妃は髪の毛を切り、祭壇に捧げた。ゼウス神はその髪の美しさをめでて、天にあげたという。髪の毛といっても、切った髪を束ねたものが星座図には描かれている。

ネビル 

バビロニアの神話、エヌマ・エリシュにでてくる。主神マルドク(マルドゥーク)の50の名の最後に挙げられている。「(かれは)ネビル、かれが天地の(境目の)渡り場をがっちり掌握 しているように。上へまた下へ渡れないなら、いつもかれに 尋ねてみるがいい。ネビル(木星)はかれが空にきらめかせたかれの星」「かれの名は渡り場(ネビル)であれ」 と。

また、木星のこと。天の赤道、アヌの道と黄道の交点、ネビル点。 ここを通過する惑星の代表の木星にネビルと名づけられたという。これは、春分点と秋分点のことになる。 天の赤道は地上からみた太陽の軌道の最大の線。

プテウス Putheus

サクラリウムとも。ヨーロッパの伝承で、古代の星座図でさそり座の尾のうしろに位置する星座。 名前の意味はラテン語で「穴」、「井戸」。デーモンと結び付けられた点でデーモン学で重要視される。 13世紀の魔術師、マイケル・スコットによると 「多くの者がいうには、このプテウスから下級のデーモンに投げつけられ、 燃え上がる矢がやってくる」という。

ティシュトリヤ=

イラン、ゾロアスター教(聖典アヴェスタ)の神話伝承。シリウス星のこと。 13のヤシュト、ティシュタル・ヤシュト。雨をもたらし収穫を約束する神。翼のある馬の姿であらわされる。 アヴェスタでは雨神として旱魃の悪魔アバオシャと戦う。善き星辰のリーダーとしてアンラマンユに属する惑星、 女呪師と称される流星と戦う。古代の7月頃とされる。古代イランでは夏至正月だったようだ。 (パールシー暦では春分正月)

シャマン・エク Xman Ek

中南米、マヤ民族の神話伝承の、北極星の神。鼻をたらしているという。行商人の道案内役 シャマン・エクの善意は雨神チャクの善意になぞらえられたという。行商人たちは、路傍の社(やしろ)でこの神に香をたく習慣があった。

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