たいこ【太鼓・幇間】
たいこもちの略。幇間。 「ほうかん、たいこもち、野―‐ってえやつで。(野ざらし)」
だいこく【大黒】 一行あらすじへ 一行あらすじへ
1)大黒天の略。 「生きた―‐様ですな。(かつぎや)」
2)僧侶の妻の俗称。
だいこくてん【大黒天】
七福神の一。頭巾をかぶり、左肩に大きな袋を負い、右手に打出の小槌を持ち、米俵に座す。厨房の神。
たいこもち【太鼓持・幇間】
幇間。他人の機嫌取りをする人。たいこ。 「噺家か―‐に違いないよ。(転宅)」
だいこんがし【大根河岸】
河岸の青果市場。魚河岸に対して言った言葉。やっちゃ場。
「この、―‐野郎って言ったら、(厩火事)」
だいし【大師】
1)偉大なる導師の意で、仏などの尊称。また、高徳の僧の敬称。
2)朝廷から高徳の僧に賜る号。多くは諡おくりなとして賜る。
日本では貞観八年(866)最澄さいちょうの勅諡ちょくしが始まり。
3)特に弘法大師を指す。 「―‐は弘法に奪われる。(山岡角兵衛)」
だいしごう【大師号】
大師の尊号。大師。
だいしょや【代書屋】 一行あらすじへ
本人に変わって書類を書く職業。 「―‐に離縁状を書いて貰う奴があるかい! (二十四孝)」
だいじん【大尽】
1)財産を多く持っている人。大金持。豪家。富豪。資産家。
2)遊里などで金銭を多く使って豪遊する客。 「お―‐に会いたい、どうしたら会えるかしら。(お見立て)」
だいにちにょらい【大日如来】
仏教で、万物を照らす宇宙の実相と考えられる如来。返照如来。
図像ずぞうには知恵の金剛大日如来、真理の胎蔵大日如来の二尊がある。
たいせきじ【大石寺】
静岡県富士宮市にある日蓮正宗の総本山。
山号を多宝富士大日蓮華山たほうふじだいにちれんげさん略して大日蓮華山。
だいそうじょう【大僧正】
各宗で最高の僧。 「―‐とは真っ赤な偽り。(こんにゃく問答)」
だいのもの【台の物】
1)大きな台にのせた料理や進物。
2)台屋から遊郭へ運ぶ料理。 「―‐はふんだんに持って来とくれ。(居残り佐平次)」
だいば【台場】
江戸時代末期、外国からの攻撃に対する海防に備え、主要な地に配備した大砲の砲台。お台場。
だいふくちょう【大福帳】
商家で売買の記録を書き入れた元帳。福運を願い表紙に大福帳と記した。
「―‐を調べております。(かつぎや)」
だいみょうがし【大名貸】
町人が大名に高利の金を貸し付けること。また、その人。
だいみょうびきゃく【大名飛脚】
江戸時代、大名が、その居城と江戸藩邸との通信のために私設した飛脚。
だいや【台屋】
遊郭への料理を調整し、仕出しする家。
たいらのかげきよ【平景清】
平安末期の平家の武将。屋島の戦の錣引で知られる。壇ノ浦の戦後、源氏に降伏。のちに絶食して、
建久七年(1196)に没す。
一説には、文治二年(1186)宮崎に下り神仏に帰依したが、源氏の隆盛を見聞するにつけ煩悶し続け、
その苦しさから逃れるため自らの両眼をえぐり取ったという。この伝説によると景清没は建保二年(1214)。
たいらののりつね【平教経】
平安末期の武将。能登守教経。屋島の戦で源義経の楯となった佐藤継信を一矢で射止めた。
壇ノ浦では義経に八艘飛びをさせるほど追い詰めたが、戦いに敗れ入水。(1106~1185)
たが【箍】
竹を裂いて編み、輪に作ったもの。桶や樽などめるために用いる。また、銅・鉄等で作ったものもいう。
「―‐専門のお職人で―‐屋。(たがや)」
たかげた【高下駄】
歯の高い下駄。足駄。高足駄。
たかだのばば【高田馬場】
東京都新宿区西部の一地区。寛永十三年(1636)越後高田藩士松平忠輝の母、高田君たかだのきみの庭園を、三代将軍家光が馬場にした。元禄七年(1694)中山安兵衛の仇討で有名。 「場所は牛込―‐がよかろう。(高田馬場)」
たかのがわ【高野川】
京都市左京区を流れる川。左京区大原三千院の裏山を西流する呂川を源流とし賀茂川と合流して鴨川となる。
たかばし【高橋】
小名木川の高橋通りに架かる橋。橋のそりが高いところからの名。
「―‐の脇にうどんやさんが出ておりまして、(探偵うどん)」
たがや【箍屋】 一行あらすじへ
箍を作る家。また、その人。桶や盥の箍を直す業の人。 「箍専門のお職人で―‐さん。(たがや)」
たがやさん【鉄刀木】
インド、東南アジアなどに自生にするマメ科の高木。
黒と赤の紋様が美しく堅い心材で家具、細工物などに利用する銘木。
「―‐や言うておりましたが埋木やそうで、(錦明竹)」
たからいきかく【宝井其角】
江戸前期の俳人。近江の人。江戸で芭蕉門に入り、派手な句風、洒落風で知られる。(1661~1707)
撰「虚栗みなしぐり」「花摘」「枯尾華」など。
たからぶね【宝船】 一行あらすじへ 一行あらすじへ
初夢を見るために枕の下に敷いた縁起物。宝物や米俵を積んだ帆掛船に七福神が乗った絵に、「ながきよのとおのねぶりのみなめざめなみのりぶねのおとのよきかな」の回文歌などを書き添えた。
「―‐に乗ってるような心持ちで。(かつぎや)」
たからぶねうり【宝船売り】
正月二日に宝船の絵を売り歩く人。「おたからおたから」と宝船の版画を売り歩いた。
たかんながさ【筍笠】⇒たけのこがさ
「―‐をかぶり、膏薬箱を持って、(鰍沢)」
たくあん【沢庵】
江戸初期の臨済宗の僧。但馬の人。品川に東海寺を開く。書画・俳諧・茶に通じ、その書は茶道で珍重。
「―‐、木庵、隠元禅師、貼り混ぜの小屏風。(錦明竹)」
たけのこがさ【筍笠】
竹の皮を編んでつくった笠。たかんながさ。
たけもとぎだゆう【竹本義太夫】
江戸初期の浄瑠璃の太夫で、義太夫節の開祖。本名、五郎兵衛。(1651~1714)
竹本座を設けて操り芝居を興行。近松門左衛門の作を語って人形浄瑠璃を大成させた。
たけもとざ【竹本座】
大坂道頓堀戎橋南詰にあった人形浄瑠璃の興行場所。
貞享元年(1684)竹本義太夫が創立。明和四年年(1767)に廃座。
たけやのわたし【竹屋の渡し】
江戸隅田川の浅草山谷堀河口と向島三囲神社間の渡し場。竹屋は船宿の名。
たじま【但馬】
旧国名。今の兵庫県の北部。但州たんしゅう。 「―‐の国豊岡。(桑名船)」
たちばなのうこん【橘右近】
寄席文字の開祖。本名椙田兼吉。(1903~1994)
大正十年(1921)三代目柳家つばめに入門。つばめ没後五代目柳亭左楽門に移る。
昭和二十一年(1946)戦後の寄席が復興したものの、ビラ屋がなくなっていた。
ビラ字に興味をもっていた右近に、新宿末広亭が依頼、噺家の傍ら末広亭のビラを書き始める。
その後他の寄席からの依頼も増え、昭和二十四年(1949)噺家を廃業、ビラ屋を本業にする。
二代目ビラ辰の書風を見様見真似で覚えたビラ字に独自の工夫を加え、橘流の寄席文字を大成させた。
たちばなりゅう【橘流】
橘右近を開祖とする寄席文字の流派。
だつえば【奪衣婆】
三途の川原にいて、亡者の着物を剥ぎ取るという鬼婆。
たつたがわ【龍田川】
奈良県生駒いこま郡を流れる川。上流を生駒川、中流を平群川へぐりがわともいい、紅葉の名所。
「―‐というのは、川の名前だと思うだろう。(千早振る)」
たつみげいしゃ【辰巳芸者】
辰巳の里で働く芸者。深川芸者。
たつみのさと【辰巳の里】
江戸深川の遊里。江戸城の辰巳にあたるところから称した呼び方。州崎。
たてぜんざ【立前座】
寄席に詰めている前座の中で、最古参の人。
だてそうどう【伊達騒動】
万治三年(1660)仙台藩で起った御家騒動。幕府は放蕩に耽る伊達綱宗に隠居を命じる。
二歳の亀千代丸が家督を継ぎ、後見人伊達宗勝が原田甲斐らと共に藩政の実権を握る。
宗勝・原田らは藩権力集権しようとし、伊達氏一門との領地紛争が起こった。
安永六年(1777)この騒動を題材にした歌舞伎、伽羅先代萩めいぼくせんだいはぎが初演された。
たてば【立場】
宿場と宿場の間にあり、人夫や駕籠が荷物をおろして休息した所。馬や駕籠の交代も行った。
「―‐のようなところへ出たら昼食ちゅうじきにしようじゃねえか。(二人旅)」
たてばやし【館林】 一行あらすじへ
群馬県南東部の一地区。もと秋元六万石の城下町。
童話作家、巌谷小波いわやさざなみの「文福茶釜」で有名な茂林寺がある。
たどん【炭団】
1)たんどんの転訛。木炭や石炭の粉を布海苔で球状に固めて乾した燃料。
「こん中に―‐が埋け込んであるから、(紫檀楼古木)」
2)転じて、相撲の黒星。
たな【店・棚】
1)貸家。借家。「―‐子」「―‐賃」「空き―‐」 「孝行ができないなら―‐を空けろ!(二十四孝)
2)みせだなの略。「大―‐の番頭」
3)奉公先。職人の得意先。 「お―‐へ行って、下さいったって、(質屋庫)」
たなこ【店子】⇔おおや
貸家に住む人。借家人。 「あたしとおまえは、大家と―‐だ。(天狗裁き)」
たなちん【店賃】
貸家の借賃。家賃。 「雨露しのぐ―‐を、(狂歌家主)」
たなばた【七夕】
五節句の一。陰暦七月七日の節句。
同夜前庭に竹葉を立て五色の短冊などを飾り、供え物をして、子女が裁縫や書道など技芸の上達を願う祭り。
だびら【太平】
太刀の幅のことで、太平狭だびらせば・太平広だびらひろなどという。段平だんびら。
だびらせば【太平狭】
刀の身の幅の狭いこと。
だびらひろ【太平広】
刀の身の幅の広いこと。段平だんびら。
たぶさ【髻】
日本髪の頂に毛髪を束ねた部分。 「お熊の―‐をとって引き回す。(鰍沢)」
たぼ【髱】
1)日本髪の後方に張り出た部分。たぼがみ。
2)若い婦人。 「庭に水新し畳伊予簾透綾縮に色白の―‐(狂歌) (青菜)」
たまいと【玉糸】
玉繭からとった節の多い太い絹糸。多く紬織 銘仙織などに用いる。
たまか
倹約。つましい。まめなこと。 「女ってえものは―‐なもんだ。(質屋庫)」
たまころがし【玉転がし】
明治時代に東京で流行った遊技。盤上で球を転がして穴へ入れたり、目的物に当てて景品をえる。
「―‐で当たった傘だから……。(船徳)」
たまがわ【多摩川】
山梨県秩父山地の笠取山をに発源し、南東に下り東京都と神奈川県の境で東京湾に注ぐ川。
上流は奥多摩湖に注ぎ、東京都の上水道の水源となり、下流を六郷川という。
たまのこし【玉の輿】
貴人が乗る輿。女が身分の高い男と結婚し、地位が上がること。
八百屋の娘お玉が豪華な輿に乗って大奥に入り、徳川家光の側妻となり綱吉の生母となったところから、
桂昌院を語源とする俗説もある。 「女氏無くして―‐に乗る。男氏無くして玉の汗をかく。(妾馬)」
たまや【玉屋】
江戸花火屋の屋号。文化七年(1810)鍵屋の手代清七が暖簾分けされ両国吉川町で独立。玉屋市郎兵衛を名乗り両国川開きで両国橋上流の花火を受け持ち、鍵屋をしのぐ人気を得る。天保十四年(1843)四月十七日、花火製造過程で大火を起こし江戸追放。一代限りとなった。
「橋の上―‐玉屋の声ばかり なぜに鍵屋と言わぬ情(錠)なし。(狂歌)(たがや)」
たままゆ【玉繭】
二・三匹の蚕が一緒になって作った繭。中のくびれがなくて大形。
たゆう【太夫】
1)公娼の中で、もっとも地位の高い遊女。
2)浄瑠璃の語り手。三味線引きに対していう。
3)万歳の語り手。才蔵に対していう。
4)歌舞伎の女形。
たらいまわし【盥回し】
1)足で盥をまわす曲芸。
2)順繰りまにわすことを(1)の曲芸にたとえた語。「政権の―‐」「病院を―‐にされる」
たらちね【垂乳根】 一行あらすじへ
元来は母を意味する語。垂乳女の語ができてから父母をいう。 「―‐の胎内をいでしときには。(垂乳根)」
たらちねの【垂乳根の】
母・親にかかる枕詞。 「―‐胎内をいでしときには。(垂乳根)」
たらちめ【垂乳女】
母親。⇔;たらちお
だるま【達磨】
1)顔面以外を赤く塗った張子の玩具。底に重りを入れ、倒しても起きあがるように作る。開運の縁起物とし、祈願の時に一方の目玉を描き、成就の時にもう一方を描き入れる。
2)だるま(1)のような形状。「―‐ストーブ」
3)羽織の楽屋符丁。
4)下等な私娼。
だるまよこちょう【達磨横町】
東京市本所区番場町の東方にあった横町の俗称。達磨を作る者が多く住んでいた。
また、達磨と呼ばれる女性がいたところから呼ばれた通り名との説もある。
「天秤を担いで、本所―‐を出て、(唐茄子屋)」
たれ
女性、また、女性器の寄席の楽屋符丁。
たれぎだ
寄席の楽屋符丁で女流義太夫語り。女性の符丁である「たれ」と義太夫を縮めた「ぎだ」を合成させた語。
だれば【だれ場】
噺の中で、くすぐりの少ない地味なくだり。
たろ
お金を指す寄席の楽屋符丁。金太郎を縮めたもの。
たろういなり【太郎稲荷神社】
東京都江東区亀戸三丁目に有る稲荷神社。元は筑後立花藩の守護神として千束の下屋敷にあった。
庶民に開放されてのち盛衰を繰り返し、浅草田圃から亀戸に移された。
たんか【啖呵】
1)浪曲で節の付いていない語りの部分。
2)威勢が良く歯切れのよい言葉。
だんか【檀家】
一定の寺に属し、これに布施をする俗家ぞっか。 「―‐はどうした。(かつぎや)」
たんご【端午】
「端」は初めの意で月の初めの午の日。後「午」は「五」と同音なところから五月五日をいう。五節句の一。陰暦五月五日の節句。菖蒲しょうぶや蓬よもぎを軒に挿して邪気を払い、粽ちまきや柏餅を食べる。菖蒲と尚武の音通から男子の節句とされ、幟旗のぼりばたや鯉幟こいのぼりを立て、甲冑・武者人形などを飾り、男子の成長を祝う。あやめの節句。
たんぜん【丹前】
普通の着物より大きめに仕立て、厚く綿を入れた広袖の防寒用着物。
主として京坂での呼称。江戸では褞袍どてらと称した。
だんな【檀那・旦那】
梵語で布施。僧家が、布施をする信者を呼ぶ語。施主。檀家。
転じて、奉公人や扶持を雇っている主人。妾や囲い者の主人。 「―‐を送り出した権妻は、(転宅)」
さらに転じて、商人や芸人などが客を呼ぶ語や、妻が夫を呼ぶ語としても使われるようになった。
「―‐は同じ見当で投げてるから、(愛宕山)」
だんなじ【檀那寺】
檀家が属する寺。 「わいの旦那の―‐寺が兵庫におましてな。(錦明竹)」
だんのうら【壇ノ浦】
山口県下関市にある地名、関門海峡が狭くなる早鞆瀬戸はやとものせとに臨む海岸。
世に壇ノ浦の戦という、源平合戦最後の戦場。長門壇ノ浦。 「屋島の合戦―‐になりまして。(源平)」
だんのうらのたたかい【壇ノ浦の戦】
元暦二年(1185)三月二十四日、長門赤間関壇ノ浦で行われた源平最後の合戦。
激戦の後に平家が破れ、安徳天皇を抱いた二位尼や建礼門院が海へ身を投じた。
だんびら【段平】
だびらひろの略。だびらの転訛。刀の幅の広いこと。また単に刀をもいう。
「―‐ったって、何も差しちゃいないじゃないか。(転宅)」
たんもの【反物】
成人一人前の着物に仕立てる分量の呉服物・太物。並幅で長さが鯨尺で二丈六尺または二丈八尺。一般的には呉服物。
ちかまつもんざえもん【近松門左衛門】
江戸中期の浄瑠璃・歌舞伎脚本作者。本名、杉森信盛。(0653~1724)
浄瑠璃では竹本義太夫と提携し浄瑠璃百数十曲を作る。
ちくおんき【蓄音機】
音を記録した盤からその音を再生させる機械。レコードプレーヤー。 「―‐の犬!(町内の若い衆)」
ちぐさ【千草】
1)さまざまな草。
2)千草色の略。 「―‐の股引をはいて、(巌流島)」
ちぐさいろ【千草色】
もえぎ色。そら色。ちぐさ。
ちぢみおり【縮織】
緯糸をやや強い糸を用いて織り、細かい皺を生じさせた織物。ちぢみ。
ちづかや【千束屋】
葭町にあった江戸で最大手の桂庵。 「芳町の―‐からめえった者ンでごぜえますが。(百川)」
ちはやぶる【千早振る】 一行あらすじへ
古くは「ちはやふる」とも。「神」に掛かる枕詞。 「千早が振ったから―‐だ。(千早振る)」
ちぶさえのき【乳房榎】
松月院にある榎。三遊亭圓朝作の怪談乳房榎の中では、この榎から乳が出て赤ん坊が育つ。
この怪談が、落語だけではなく、歌舞伎・映画などに脚色され、松月院の榎が乳房榎と呼ばれるようになる。
現在の榎は四代目といわれ、子育ての榎として、年少の子を持つ母親に親しまれ、参拝されている。
ちゃにする【茶にする】
1)ひと休みする。
2)まじめに応対しない。ちゃかす。ばかにする。
3)人を利用し切って、後は廃ておくこと。
ちゃぶくさ【茶袱紗】
茶道で茶器の取り扱いに用いる袱紗。 「膝に―‐という物が乗せてあった。(崇徳院)」
ちゃぶね【茶船】
1)運送用川船の一。大船の荷物を分けて運んだり、河岸間の荷を運搬する十石積の船。
2)屋形茶船の略。川遊びに用いる屋根の付いた船。屋形船。 「―‐の船頭になって何がめでたいんだ!(船徳)」
3)川遊びの客に飲食物を売りまわる小船。くらわんか船。うろうろ船。
ちゃみせ【茶店】
路傍や寺社の境内などで、湯茶を飲ませて往来の人を休息させた店。水茶屋。掛け茶屋
「―‐へ腰掛けましたか?乙な家でしょう。(崇徳院)」
ちゃや【茶屋】
酒食を提供する店。「料理―‐」「芝居―‐」「相撲―‐」「引き手―‐」「色―‐」
「お―‐というのは葉茶屋ですか?(百年目)」
ちゃやおんな【茶屋女】
色茶屋で遊客の相手をしたりする女。色茶の私娼。茶屋者。
ちゅうしん【注進】
目上の者に取り急ぎ報告すること。 「染殿の内侍へ―‐におよびます。(西行)」
ちゅうしんぐら【忠臣蔵】⇒かなでほんちゅうしんぐら
ちゅうそんじ【中尊寺】
岩手県平泉町にある天台宗の寺。山号を関山かんざん。長治二年(1105)藤原秀衡が建立。金色堂・経蔵のみが残存し、他の塔堂はのちに再建されたもの。
ちゅうどしま【中年増】
娘盛りを過ぎた女。江戸時代は二十三・四歳から二十代後半の女をさす語。年増。
ちゅうのまい【中の舞】
出囃子の一つ。トリの出に演奏される曲。
ちゅうみせ【中見世・中店】
1)遊郭で中等な妓楼。 「―‐では五円、七円。(居残り佐平次)」
2)中規模な店。
ちゅうや【中夜】
六時の一。亥の刻から丑の刻まで。現在の午後十時から午前二時頃の間。中宵ちゅうしょう。半夜はんや。
ちょうあい【寵愛】
特別に可愛がること。非常に愛すること。 「帝のご―‐をうけております染殿の内侍。(西行)」
ちょうか【長歌】
和歌の一体。五七調の反復からなりたち、終末を七・七とするのが基調。
ちょうきん【彫金】
金属に彫刻をすること。「―‐師」
ちょうせんにんじん【朝鮮人参】
ウコギ科の多年草。朝鮮、中国の山林に自生し、古来より根を強壮薬とする。高麗人参。人参。
ちょうな【手斧】
ておのの転訛。鍬のような形状の鑿のみに柄を付けた大工道具で、斧で削った木材の面を平らにするのに用いる。
ちょうば【町場・丁場】
1)宿場間の距離の意から、ある区間の距離。物事を為すのに掛かる時間。
2)普請などの受持ち区域。 「棟梁、―‐が始まったって行けねえ。(大工調べ)」
ちょうば【帳場】
宿屋・商店などの勘定勘定場。
ちょうめいがん【長命丸】
四つ目屋忠兵衛の店で売られた媚薬・淫薬。 「―‐を飲ませたな。(子ほめ)」
ちょうめいじ【長命寺】
墨田区向島五丁目にある天台宗の寺。山号が宝寿山。常泉寺と号する寺であったが、三代将軍家光が鷹狩の折腹痛を起こし、等持院の井戸水で服薬したところ、たちどころに快癒したところから その井戸に長命水の名を与えられ、寺号も長名寺と改めたと伝わる。桜餅発祥の地といわれ、享保二年(1717)隅田堤の桜の葉を塩漬けにしたものに餅をくるみ、長命寺の門前で商ったのが始めとされる。その後餅に餡を入れるなど味に工夫を加え、長命寺桜餅として今に伝わる。
「桜餅は―‐が元祖だそうだなァ。(連理の梅枝)」
ちょうもく【鳥目】
銭ぜにの異称。円形方孔の銭貨が、鳥の目に似ているところからいう。
ちょうやく【町役】
1)町役人まちやくにんの略。 「―‐をつとめる大家の私にも。(天狗裁き)」
2)住民が町内の付き合いとして果たすべき義務。
ちょうよう【重陽】
五節句の一。陽の数とされる九が重なる意で、陰暦九月九日の節句。宮中では観菊の宴が催され、杯に菊花を浮かべた酒を酌み交わし長寿を祝った。菊の節句。
ちょきぶね【猪牙舟】
江戸で造られた、長さ約三間程の細長い舟で、船足が速く屋根がない小舟。
漁業・舟遊びなどに広く使われ、隅田川を吉原通いの上下に用いられた。山谷船。ちょき。上方ではちょろ。
ちょぼいち【樗蒲一】
一個の賽を入れた壺を伏せ、中の目を当てれば賭金の四倍を得るという博打。
「―‐か?さいころひとつで勝負が決まる。(看板のピン)」
ちりめん【縮緬】
撚よりの無いたて糸と、撚の強いよこ糸に糊づけした生糸で織った布を、ソーダで煮込み、
撚の戻りで細かい皺を付けた織物。
ちんぷんかん【珍粉漢】
訳のわからない言葉や話。またそんなことを言う人。ちんぷんかんぷん。
ちんぷんかんぷん【珍粉漢粉】
ちんぷんかんとおなじ。
ついたて【衝立】
衝立障子の略。障子の原点とされる、部屋の仕切。
現在は、衝立の方が一般的呼称で、席の仕切や装飾を兼ねた玄関の目隠しなどに使う。
ついたてしょうじ【衝立障子】
障子と呼ばれる間仕切りでは一番古く、ついたてそうじと呼ばれていた。衝立。
ついたてそうじ【衝立障子】
板障子・襖障子などに台をとりつけた形状の間仕切。ついたてしょうじ。
障子の原点とされ、部屋を仕切る建具として奈良時代にはすでに存在する。
移動可能なため現在でも席の仕切として使用され、衝立の呼称が一般的になった。
つか【柄】
刀剣類の手で握る部分。柄前。 「―‐前が鉄刀木やゆうておりましたが、(錦明竹)」
つかはらぼくでん【塚原卜伝】
室町後期の剣客。常陸鹿島神宮の神官の家に生れ、新当流を創始する。(1489~1571)無手勝流で知られる。宮本武蔵の剣を鍋ぶたで防御したのは、武蔵が卜伝死後の生まれで作り話。
つきうま【付き馬】 一行あらすじへ
遊興費の不払いを取り立てるため、客に同行する者。つけうま。略してうま。
つきごめ【搗き米】
玄米をついて白くしたもの。精白米。精げ米しらげよね。
つきごめや【搗き米屋】
搗き米を業とする人。また、それを売る店。
つきだし【突出し】
1)禿かむろから一人前の遊女になって、初めて披露されること。また、その遊女。
「まだ―‐間もないから、(明烏)」
2)素人から、いきなり遊女になった女。
3)相撲の決まり手で、相手を突いて土俵の外に出すこと。
3)本料理の前に出すちょっとした酒の肴。
つぎびきゃく【継ぎ飛脚】⇔とおしびきゃく。
江戸幕府が各宿駅に配置して、老中以下の公用の信書・貨物を継送させた飛脚。
つく【付く】
同じ日の寄席で、同じ噺や、登場人物や場所の設定などが似通った噺が出ることを言う楽屋の符丁。
つくだじま【佃島】 一行あらすじへ
東京都中央区の南東部の一地区。古くは隅田川河口の干潟。天正(1590)徳川家康に、大坂佃村・大和田村から呼び寄せられた漁師らが、自らの手で干拓した島。正保元年(1644)現佃一丁目に完成。庄屋と漁師三十三名が移り住んだといわれる。江戸時代、将軍家献上魚の漁場であった。白魚の産地で、佃煮・佃祭で知られる。
つくだまつり【佃祭】 一行あらすじへ
江戸佃島住吉神社の旧暦六月二十九日(現在は八月三日)に行われる祭礼。
三年に一度の大祭は、海中で御輿が揉み合う水掛け祭りとして知られる。
つじかご【辻駕籠】
街道などで客待ちをして乗せる駕籠。町駕籠。 「―‐を拾って乗る方もあるから。(ちきり伊勢屋)」
つじばなし【辻噺】
往来などで人を集めて噺を聞かせる、一種の大道芸。これが落とし噺、落語へと進化していく。
つつそで【筒袖】
袖に袂たもとがなく筒形のもの。
つばなれ【つ離れ】
十人を指す寄席の楽屋符丁。
一つ、二つと数えて、九つまでは「つ」が付くが、十には付かないの意。「―‐がしない」
つばなれがしない【つ離れがしない】
寄席の楽屋符丁つ離から、入場客数が十人に満たないこと。転じて客の入りが少ないさま。
つま【褄】
着物の裾の左右両端部分。
つまがさね【夫重ね】
夫のいる女が、他の男と肉体関係を持つこと。。
つまみな【撮み菜】
密生を防ぐため、まびき取った菜。間引菜まびきな。 「―‐屋さん、ここへ広げて見せておくれ。(位牌屋)」
つむぎ【紬】
1)紬織の略。「大島―‐」
2)紬糸の略。
つむぎいと【紬糸】
屑繭くずまゆまたは真綿をつむいで、よりをかけた絹糸。
つむぎおり【紬織】
紬糸または玉糸で織った丈夫な絹織物。
つむぐ【紡ぐ】
綿や繭まゆの繊維を引き出し、撚よりをかけて糸にすること。
つゆのごろべえ【露の五郎兵衛】
初代は、江戸時代中期京都の祇園真葛ヶ原まくずがはらを中心に活躍した落語家の祖(1643?~1703)。元日蓮宗の僧侶。「露がはなし」「軽口あられ酒」などの作者。晩年僧侶に戻り露休。
つりあんどん【釣行灯】
天井や梁から釣る行灯あんどん。木枠に紙を貼った大型の笠の下に油皿を仕掛けたもの。八間。遊廓・湯屋・商家など人の集まる場所で、店先・廊下などの照明とした。。
つるがおかはちまんぐう【鶴岡八幡宮】
鎌倉市にある神社。康平六年(1063)源頼朝が由比郷鶴岡に建立した。
治承四年(1180)同じく頼朝が旧名のまま今の地に移す。源氏の氏神。鎌倉八幡宮。
つるがぶし【鶴賀節】
新内節の一流派。富士松薩摩掾さつまのじょう(富士松節)から独立した鶴賀若狭掾わかさのじょうが創始。同門の鶴賀新内とともに新内節を大成させる。
てかけ【手懸】
1)器具などの、持つために手をかける所。また、そのために設けた穴や金具など。
2)手にかけて愛するものの意で、妾の字も当てる。めかけ。そばめ。
てがら【手絡】
1)丸髷の根本にかける装飾用の布。縮緬を種々の色模様に染めたもの。
「赤い―‐が似合ううちはいいが。(品川心中)」
2)手絡髷てがらわげの略。
てがらわげ【手絡髷】
江戸吉原で流行した、手絡を用いて結う髪形の一種。
てぐす【天蚕糸】
ヤママユ科の蛾の幼虫から絹糸のように製糸精製した白色透明の糸。多くは釣糸に用いる。
てけつ
チケットが訛ったもので、大正時代の呼び方。入場券。また、その売り場や売り子。
てだい【手代】
番頭と丁稚の中間に位置する奉公人。
でっち【丁稚】
職人または商人の家に奉公し雑用に従事する少年。小僧。 「あんさん、ここの―‐はんだっか?(錦明竹)」
てっぽう【鉄砲】
1)火薬で弾丸を発射する武器。 「―‐で撃ち殺しちまう。(鰍沢)」
2)ホラ話。大袈裟な嘘。 「―‐の弥八という人がいて、(嘘つき村)」
3)あたれば死ぬの意で、河豚ふぐ゙の異称。
4)相撲で、手で突っ張ること。
てっぽうざる【鉄砲笊】
紙屑を入れる寸胴形の笊。 「―‐の中に秤が入っている。(巌流島)」
でばやし【出囃子】
噺家が高座へ上がるとき演奏する曲。二ツ目以上は自分の出囃子が決まっている。
てらおかへいえもん【寺岡平右衛門】
仮名手本忠臣蔵の人物。赤穂浅野家の足軽寺坂吉右衛門に擬す。
由良之助の密書を盗み見した妹お軽を殺し、雑兵の身分で唯一討ち入りに加わる。
てらこしょう【寺小姓】
住持の雑用をつとめる少年。男色のために置くことが多く、実は女性という例もある。ちご。寺若衆。
でろれんさいもん【でろれん祭文】
歌祭文の一種。合の手に「でろれんでろれん」という。
でんがく【田楽】
1)平安時代から行われた日本芸能の一。
もと、田植などの農耕儀礼に笛や鼓を鳴らして歌い舞ったもの。
やがて田楽法師が生れるが、その後衰退し、寺社行事のために継承され現在に至る。
2)田楽豆腐の略。 「豆腐屋に、―‐ありと書いてございます。(味噌蔵)」
3)田楽返しの略。
でんがくがえし【田楽返し】
劇場大道具の仕掛物の一。背景の壁や襖ふすまなどの中央に田楽豆腐のように棒を貫き、これ支点として回転させる。背景を変化させたり、人物を消したりする。
でんがくどうふ【田楽豆腐】
豆腐を長方形に切って串にさし、味噌を塗って火にあぶった料理。
田楽法師が高足こうそく に乗って踊るさまに似るところからいう。
でんがくざし【田楽刺し】
田楽豆腐のように、中央をさし貫くこと。また、そのような状態。
でんがくほうし【田楽法師】
田楽を演ずる者。高足こうそく に乗って踊ったり、曲玉や刀剣投げの曲芸などを本芸とした。鎌倉時代以降、猿楽と同様に能をも演ずるようになるが、やがて衰退していく。
てんぐれん【天狗連】
達人気取りで鼻を高くしていいる連中。芸人の真似事をして悦に入っている連中。
てんしき【転失気】 一行あらすじへ
本来は、腸内で発生したガスが肛門から排出されず腸内へ反転すること。返りっ屁。
落語転失気では放屁。
てんじく【天竺】
インドの古称。
てんしょく【天職】
遊郭で、太夫の次に位地する遊女。天神。
てんじん【天神】
1)菅原道真を祭神とした天満宮。学問の神様と言われる。 「―‐の境内へ来て。(宿屋の富)」
2)遊郭で、太夫の次に位地する遊女。
揚代の銀二十五匁と、北野天満宮の縁日二十五日をかけた呼称。天職。
てんすいおけ【天水桶】
消火用に雨水をためておく桶。 「およしよ、―‐なんか振り回すのは。(天災)」
てんだいしゅう【天台宗】
仏教宗派の一。法華経を所依とする。日本には奈良時代に伝わったが定着しなかった。
延暦二十三年(804)に唐へ渡った最澄さいちょうが翌年帰国して、比叡山延暦寺を拠点に布教以降広まる。
てんたく【転宅】 一行あらすじへ
引っ越し。転居。
てんびん【天秤】
1)中心を支点とした両端に皿をつるした秤はかり。
一方の皿に計測物を乗せ、他方に乗せた分銅と平均させて重量を計測する。「―‐にかける」「―‐座」
2)天秤棒の略。 「―‐を担いで、本所達磨横町を出て、(唐茄子屋)」
3)釣り具の一。鉤素はりすが錘おもりの真下にならないように、道糸と接続する具。「両―‐」「片―‐」
てんびんにかける【天秤に掛ける】
1)二つのものを比較すること。
2)一方を失っても損失にならないように、双方と関係を付けておくこと。
ふたまたをかける。「両―‐をかける」
てんびんぼう【天秤棒】
両端に荷を付けて、中心を肩に担ぐための棒。 「―‐を肩にしてでも、(こうふい)」
てんぽうろっかせん【天保六花撰】
二代目松林伯円作の講談の題名。六人の悪人を題材にし、歌舞伎にも脚色。 「中座が―‐。(桑名船)」
とうがい【灯蓋】
灯盞とうさんをのせるもの。また、灯盞をもいう。 「―‐とうげえ皿飛んじまってるんだ。(品川心中)」
とうかいじ【東海寺】
東京都品川区北品川にある臨済宗の古刹。
三代将軍家光が沢庵を江戸へとどめるため寛永十五年(1625)に創建を開始。
翌年四月沢庵が開祖として居住し沢庵屋敷と呼ばれた。山号を仏日山。
とうかいどう【東海道】
五街道の一。江戸日本橋から品川へ出て、草津で中山道と分岐し京都に達する街道。
とうかいどうごじゅうさんつぎ【東海道五十三次】
江戸日本橋から京都三条大橋に至る街道の間にあった五十三の宿駅。
どうかん【道灌】 一行あらすじへ ⇒おおたどうかん
「―‐公はたと小膝を叩いて、(道灌)」
どうぐや【道具屋】 一行あらすじへ
古道具や古い書画骨董などを商う店。また、その人。 「―‐か、お達しがあったぞ。(火焔太鼓)」
とうごくさんじゃ【東国三社】
茨城県の鹿島神宮・息栖神社、千葉県の香取神宮の総称。水郷三社。
とうざん【灯盞】
油を入れて照明の火を灯す皿。
とうざん【唐桟】
唐桟留とうさんとめの略。 「―‐の着物に小倉の帯(巌流島)」
とうしろう【藤四郎】
素人を逆さ読みして、人名化した呼び方。しろうと。 「おめえ―‐だな。(道具屋)」
とうさんとめ【唐桟留】
細い諸撚糸で平織した綿の縞織物。紺地に浅葱あさぎや赤などの細い縞を配し表面はなめらかで光沢がある。
もとは和製の模造品を桟留縞さんとめじまと呼ぶのに対する舶来物の呼称であったが、後には汎称となった。とうざん。
どうとんぼり【道頓堀】
大阪市中央区にある市中最大の盛り場。道頓堀川の南方、東は日本にっぽん橋から西は戎えびす橋にいたる.道頓堀川慶長十七年(1612)安井道頓が開削に着工。元和元年(1615)従弟道トが完成させた運河。
どうにゅう【道入】
京都楽家三代目の陶工。俗に「のんこう」と称した楽焼の名匠。
どうのま【胴の間】
和船の中央部分。 「―‐へ腰をおろして、(巌流島)」
とうはち【藤八】
1)藤八五文薬の略。江戸時代、長崎の薬売りが万病に効くと、二人一組で売り歩いた一粒五文の薬。また、その薬売り。
2)藤八拳の略。 「―‐は存じませんが、見世に久八がおります。(明烏)」
とうはちけん【藤八拳】
狐拳の別称。藤八の「藤八・五文・奇妙」という掛け合いの売り声の調子が、拳の掛け声に似ているからといわれる。
とうびゃくせん【当百銭】
百文に通用する銭の意で、天保銭の俗称。
とうぼうさ【東方朔】
中国のの学者。伝説では禁断の桃を盗み食いし、長寿をほしいままにしたという。
「―‐は八千年。(厄払い)」
とうゆ【桐油】
1)桐の種子から採取した乾性油。灯火に用いたり、油紙・ワニスなどの原料にする。
2)桐油紙の略。
3)桐油合羽の略。 「見慣れねえ笠や―‐が置いてあるが、(鰍沢)」
とうゆがっぱ【桐油合羽】
桐油紙で作った合羽。
とうゆがみ【桐油紙】
桐油をひいた油紙。主に雨や湿気を防ぐ目的で用いる。
どうらく【道楽】
1)趣味などにのめりこむこと。また、その趣味。
2)酒色や博打などの遊興。また、それらに没頭すること。
3)風流などにふけること。変わった物事に興味をもつこと。
どうらくもの【道楽者】
酒色・博打などにふける人。放蕩な人。身持ちの悪い人。
「あなたですか、名代の―‐というのは。(湯屋番)」
とうりょう【棟梁】
大工のかしら。 「―‐、丁場が始まったって行けねえ。(大工調べ)」
とうろう【登楼】
遊女屋へ行って遊ぶこと。
どうをとる【胴を取る】
博打の親になること。 「おれに―‐どうをとれと言うのか?(看板のピン)」
とおしびきゃく【通し飛脚】⇔つぎびきゃく
途中で継ぎ替えることなく、出発点から目的地まで一人で通す飛脚。
とき【時】
古くは一日を十二辰刻しんこくとした。時刻を告げた鐘や太鼓の打数で何時という呼び方をする。子の刻=八つ、丑の刻=七つなど。 「あの野郎変なところで―‐を聞きやがったね。(時そば)」明治六年(1873)の太陽時改暦で、一日を二十四時間に等分する。
ときわず【常磐津】
常磐津節の略。 「―‐の、亀文字ってのがいるから呼んで来い。(百川)」
ときわずぶし【常磐津節】
浄瑠璃の流派の一。豊後節から脱した弟子、宮古路文字太夫文字太夫が創始者。
創始後の名を、常磐津文字太夫と名乗ったところから付いた名称。
唄いと語りを合わせた義太夫節に近い曲調で歌舞伎、舞踊などの音楽としても多く用いられる。
とげぬきじぞう【とげぬき地蔵】
東京都豊島区巣鴨にある高岩寺こうがんじの俗称。毎月四の日が縁日。
どさ
東北弁で「何処へ」を「どさ」と言うところから、東北地方のこと。
やがて田舎や田舎者をさげすむ言葉となった。[―‐回り]
どさきん【どさ金】
金は寄席の楽屋符丁で客のこと。すなわち、田舎の客。悪受けする客。
どさまわり【どさ回り】
地方巡業。現在は営業という。また常設の劇場を持たない地方回りの劇団。
としとくじん【歳徳神】
その年の福徳をつかさどる神。
としま【年増】⇔しんぞう
娘盛りを過ぎた女。江戸時代は二十歳過ぎの女をさす語。「大―‐」「中―‐」
「この間の―‐、いい女だねえ。(山崎屋)」
とたんおち【途端落ち】
落ちの分類の一。その一言で噺の結末がすっきり決まる落ち。
どてら【褞袍】
普通の着物より大きめに仕立て、厚く綿を入れた広袖の防寒用着物。
主として江戸での呼称。京坂では丹前と称した。
どどいつ【都々逸】
都々逸節の略。 「爪弾きで―‐を唄ったが、(居残り佐平次)」
どどいつぶし【都々逸節】
俗曲の一。主に男女の情愛を、雅言がげんを使わない口語で作り、普通七・七・七・五の四句二十六音からなる。潮来節いたこぶしが母胎となる神戸節ごうどぶしやよしこの節から、都々逸坊扇歌が確立させた。
どどいつぼうせんか【都々逸坊扇歌】
江戸後期の芸人。水戸の人。噺家船遊亭扇橋に入門。都々逸節の節回しを完成させた。
とび【鳶・鴟・鵄】
1)タカ目タカ科の鳥。トンビ。
2)鳶職の略
3)鳶口の略。
4)問屋と仲買との間に立って手数料を取る者。
5)鳶色の略。
とびいろ【鳶色】
茶褐色。とび。
とびがしら【鳶頭】
鳶職の親方。かしら。
とびぐち【鳶口】
トビのくちばし形状の鉄鉤かぎに柄を付けた道具。
柄の長さは用途によって異なるが、物を引っかけたり壊したりするのに用いる。とび。
とびしょく【鳶職】
土木建築で、足場を掛けたりする仕事師、特に、高い場所で工事をすることが多い。鳶の者。とび。
とまえ【戸前】
1)土蔵の引戸の前に設ける観音開きの扉。また、その前。 「お蔵の―‐が打ってございません。(火事息子)」
2)土蔵を数えるのにいう接尾語。
とみもとぶし【富本節】
浄瑠璃の流派の一。常磐津文字太夫ときわずもじだゆうの常磐津節から分流。
富本豊前掾とみもとぶぜんのじょうが創始。
歌舞伎や舞踊の音楽として隆盛したが、清元節に押されて衰退。
とも【艫】
船の最後方。船尾。⇔舳へ
とり
寄席で最後に出演する者。上がりを受け取る人の意。真打・主任の字を当てる。「―‐をとる」.興行の収入から席亭の取り分を引いた金額を受け取り、他の演者には割りにしたがい分配した。やがて割りの分配は、五厘が行うようになる。
どんす【緞子】
光沢のある絹糸を用いた厚手の織物。多くは紋織りで、室町時代に中国から輸入された。
とんちき【頓痴気】 一行あらすじへ
人をののしった語。まぬけ。とんま。うすのろ。 「ふふうん、あの―‐か。(とんちき)」
とんとんおち【とんとん落ち】
落ちの分類の一で、トントン拍子に進んできた噺が落ちになるもの。拍子落ちとも。
どんぶり【丼】
1)厚手で深い陶製の鉢。どんぶりばち。
2)金などを入れ懐中に持ち歩く、更紗さらさ緞子どんすなどで作った大きな袋。
江戸時代、若い遊び人などが好んで用いた。
3)職人などの腹掛けの前部に着けた共布の前かくし。金などを入れた。
「銭は腹がけの―‐の中にへえってますから。(垂乳根)」
4)丼物の略。「親子―‐」
どんぶりかんじょう【丼勘定】
大まかな金の出し入れをすること。また、それに似た大まかな会計。
丼の中の金を無造作に出し入れして使うところから出た語。
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