赤螺屋 (あかにしや)
用打不开壳的卷螺来比喻握住钱不撒手的样子,吝啬鬼。也被称为“赤螺屋吝兵衛”。
あかりしょうじ【明り障子】
明りを採り入れるため、木枠の片面にだけ薄い和紙を貼った、水腰障子・腰障子・腰高障子。現在はこれを一般的に障子と呼ぶ。かみしょうじ。あかりそうじ。
秋の七草(あきのななくさ)
秋天其中野草。萩・尾花・葛・撫子・女郎花・藤袴・朝顔。
あきはじんじゃ【秋葉神社】
古くから火難除け・火伏せの神として信仰の厚い神社。祭神は迦具土神。秋葉権現。総社は静岡県周智郡春野町の秋葉山にあり、江戸界隈では本所と亀戸にあった。亀戸の秋葉神社は墨田区向島四丁目に現存し、社殿は昭和四十一年(1966)に再建されたもの。
東京都台東区松が谷にある火難除け・火伏せの神社。元は秋葉原あきばはらにあった。
明治二年(1869)に東京大火があり、明治天皇の勅により翌三年(1870)に建立された鎮火舎。祭神は迦具土神かぐつちのかみ・罔象女神みずはのめのかみ・埴山毘売神はにやまひめのかみの三神。人々は秋葉神社あきはじんじゃの祭祀と思い、江戸下町訛りで「あきばじんじゃ」と呼んでいた。明治二十一年日本鉄道に払い下げとなり現在地に移転。秋葉神社あきばじんじゃが正式名称となったのは、台東区へ移って以降の昭和五年。
【秋葉原(あきばはら)】
秋叶一样的原野之意,位于神田花岡町与神田佐久间町之间的避火地。明治二十一年(1888)售与日本鉄道,于明治二十三年(1890)站名称为「あきはばら」。
明烏夢淡雪(あけがらすゆめのあわゆき【明烏夢淡雪】
新内の代表曲の一。山名屋の遊女浦里と、春日屋時次郎の情話。通称「明烏」。明和六年(1769)三河島での、吉原蔦屋の遊女三吉野と、浅草蔵前伊勢屋伊之助の心中が題材。明烏=夜明けがたに鳴く烏。また、その声。男女の朝の別れの情緒を表現する語。
あげや【揚屋】
遊里にあり、遊女屋から太夫、天神、格子など高級な遊女を呼んで遊そぶ店。
元吉原では、遊郭内に散在したが、新吉原では一角にまとめられ、揚屋町と呼ばれた。
あげやまち【揚屋町】
遊郭の中で揚屋が集まっている一角。特に京都島原と、江戸吉原が著名。
あご【顎】
寄席の楽屋符丁で食事のこと。「―‐代」「―‐付き」
あごあしつき【顎足付き】
寄席の楽屋符丁で、食事と交通費が支給されること。
あこうぎし【赤穂義士】
元禄十五年(1702)十二月十四日、本所松坂町の吉良義央邸に討ち入り、主君浅野長矩の仇討ちをした四十七人の元赤穂藩士。 「前講と致しまして―‐銘々伝の一節を読み上げます。(桑名船)」
あこぎ【阿漕】
阿漕ヶ浦で、度重なる密漁を繰り返した漁夫が捕らえられ、海に沈められたという伝説。
転じて、どこまでもむさぼること。しつっこくあつかましいこと。ずうずうしく押しつけがましいこと。
「義清殿、―‐で御座いましょう。(西行)」
あこぎがうら【阿漕ヶ浦】
伊勢国阿濃郡の東方一帯の海浜。伊勢神宮に供える魚の漁場で殺生禁断の地。
「―‐に引く網も度重なれば何とやら。(西行)」
あごだい【顎代】
寄席の楽屋符丁符丁で食事代のこと。 「―‐代付き」
あさがみしも【麻上下・麻裃】
麻で作った裃。江戸時代の、武士や庶民の通常礼服。
あさくさおくら【浅草御蔵】
江戸幕府の米蔵のうち、最も重要な蔵。隅田川西岸(現在の柳橋二丁目、蔵前一.二丁目)を埋め立てて造成。
隅田川に向かって、北の一番堀から南の八番堀までが櫛型に作られ、川から関東一円の米が運ばれて来た。
あさくさおくらまえかたまち【浅草御蔵前片町】
蔵前一丁目にあった町の古称。浅草御蔵の西側に位置ていたため、道の東側には家並みがない片側町。
通称蔵前と呼ばれ、昭和九年(1834)までの蔵前とは、この地区をいう。
あさくさがみ【浅草紙】
江戸時代に、浅草山谷や千住辺から産出した紙。すきがえしの下級品で、主におとし紙に用いる。
あさくさたんぼ【浅草田圃】
新吉原の遊郭後方を囲う田圃。中田圃。
あさくさもんぜき【浅草門跡】
浅草松清まつきよ町の東本願寺別院。東京本願寺。浅草本願寺。東門跡。
「―‐様の裏、八百屋の横町を曲がって角から三軒目。(野晒し)」
松清町は大松寺の「松」と清光寺の「清」をとった町名で、現在の住居表示は西浅草一丁目。
あしがる【足軽】
平常は雑役に従い、戦時は歩兵となる者。最下位の武士。雑兵ぞうひょう。
「―‐うちに、早見東作と申しまする者。(盃の殿様)」
あしだ【足駄】
板製履物の総称。足板の転訛とも。とくに、二枚の高い歯がついた下駄をいう。たかげた。ほおば。
「―‐と長靴片っ方っつはいて来やがって。(味噌蔵)」
あじろかご【網代駕籠】
網代を貼った駕籠。身分の高い僧侶や医者などが乗る。
あずさみこ【梓巫女】
梓弓の弦を鳴らし、神がかりになって死霊・生霊などを呼び寄せる巫女。
あずまばし【東橋】
大川橋の別称。隅田川の浅草と本所に架かる橋。現在の吾妻橋。
あそん【朝臣】
律令制で定めた上位の官人の性や名前の下に付けられた敬称。
「それを言うなら在原業平―‐。(千早振る)」
あたごさん【愛宕山】 一行あらすじへ
京都市右京区嵯峨にある、標高924メートルの山。山頂には雷神を祀る愛宕神社の本社がある。
「あしたは―‐へ登るんだから。(愛宕山)」
あたりばこ【当たり箱】
硯箱すずりばこのこと。スルと言う言葉を嫌って当たりと縁起を担いだ語。
あつた【熱田】
名古屋市南部の区。熱田神宮の門前町。桑名船の乗船場があった東海道の宿駅、宮宿を中心に発展。
「尾張の―‐から伊勢の桑名へ向かう海上七里の船旅。(桑名船)」
あつたじんぐう【熱田神宮】
名古屋市熱田区新宮坂町にある大社。草薙剣を神体とし主神は熱田大神。古来、皇室・武家が崇拝。
あつらえ【誂え】
注文して作らせること。誂え物の略。 「―‐じゃない、落雷。(二十四孝)」
あつらえもの【誂え物】
誂えた物。注文する品物。 「―‐がはいってくる。(居残り佐平次)」
あにさん【兄さん】
噺家が自分より香盤が上の人を呼ぶ敬称。ただし、前座・二つ目が、真打ちを呼ぶ場合は師匠。
あにでし【兄弟子】
同じ師匠の門下で、本人より入門が早い芸人。
あぶらをうる【油を売る】
用事の途中で時間をつぶすさま。油を商う者が、油の雫が切れるまでの間ゆっくりと話し込んでいたのが語源。
あまがわやぎへい【天川屋義平】
仮名手本忠臣蔵の登場人物で、大坂商人天野屋利兵衛に擬する。
あまきん【甘金】
金は寄席の楽屋符丁で客の意、甘い客、何を言っても良く笑う客をさす。どさきん。
あまのはしだて【天橋立】
京都府宮津市宮津湾にある砂洲さす。日本三景の一。
延長約3.3キロメートルの白砂の松林で、北岸からの眺望が特に有名。
あまのむらくものつるぎ【天叢雲剣】
三種の神器の一。草薙剣と称して熱田神宮に祀るが、平家滅亡の時、海に投じられたとも伝わる。素戔嗚尊すさのうのみことが八岐大蛇やまたのおろちを退治した時、その尾から剣が出たという日本神話に基づく。
あまのやりへえ【天野屋利兵衛】 一行あらすじへ
江戸中期の大坂商人。赤穂義士のために武器を調達し、仇討ち本懐後自首し、追放される。(1662~1727)
「―‐は男でござる。(天野屋利兵衛)」
あらばち【新鉢】
処女。 「糸も通したことがねえという―‐なんで。(宿屋ぼぼ)」
あわせ【袷】⇔ひとえもの。
裏地つきの着物。単衣または綿入れに対していう。
「―‐に単衣のひと揃いくらいは持って来ようと言うんだ。(垂乳根)」
因みに、綿入れの綿を抜いた袷を綿抜きという。
あわづ【粟津】
1)滋賀県大津市の一地区名。近江八景の一、粟津の青嵐あわづのせいらんで知られる。
寿永三年(1184)木曽仲軍が、源範頼・義経軍に破れた地。
「―‐の一戦に木曽曽仲を滅ぼした源義経公。(源平)」
2)石川県小松市の一地区名。北陸最古の温泉、粟津温泉で知られる。
あわづのせいらん【粟津青嵐】
近江八景の一。粟津の松林を青嵐が吹き抜ける景観。
あわびのかたおもい【鮑の片思い】
鮑が片貝であるところから言われる言葉。 「磯の―‐と言って縁起が悪い物だ。(鮑のし)」
あんぎゃ【行脚】
歩いて諸国を巡る旅、あるいは修行。 「愚僧は諸国―‐雲水の僧にございます。(蒟蒻問答)」
あんどん【行灯】
木などで枠を組み紙を貼った中に油やろうそくを入れ、灯心に火をともす道具。
室内の照明や軒先の看板などにもちいる。「寄席―‐」「釣―‐」「昼―‐」
「―‐の油を、ぺろっぺろっと舐めた。(もう半分)」
あんどんべや【行灯部屋】
行灯をしまっておく部屋。階段下など日の当たらない部屋が多く、遊郭では居残りを押し込めておいた。
「そろそろ―‐へ下がりやしょう。(居残り佐平次)」
あんばい【塩梅・按配・按排】
塩梅は、えんばいの転化。塩と梅酢で調味すること。また、その味加減。
按配・按排は、ほどよく配列すること。これらが混同され、ほどあい。かげん。特に、身体の具合。
「いい―‐のお天気と言いなさい。(やかん)」
あんらくあんさくでん【安楽庵策伝】
浄土宗の僧侶で、京都誓願寺竹林院の住持。笑話作者。茶人。(1554~1642)
京都所司代板倉重宗の所望をうけ、醒睡笑せいすいしょうを書き下ろして呈し、落語の祖といわれる。
誓願寺に茶室安楽庵を結ぶ。
いいびつ【飯櫃】
おはち。おひつ。いびつ。めしびつ。
いかけや【鋳掛け屋】 一行あらすじへ
鍋や釜などの漏れを白目と呼ばれる合金などを流し込んで直す職人。
いかさまもの【如何様者】
いかさまをする者。詐欺師。
いかもの【如何物】
1)いかさまものの略。
2)一般的でない食べ物。下手物。「―‐喰い」
いきすじ【粋筋】
1)男女の情愛に関する事。
2)花柳界などの方面に関する事。 「それも―‐のことでしょう。(近江八景)」
いきすじんじゃ【息栖神社】
茨城県鹿島郡神栖町東方にある神社。東国三社の一。岐神くなどのかみを祭神として祀る。
いくよもち【幾世餅】 一行あらすじへ
あぶった切り餅に小豆の餡あんをつけたもの。元禄時代に、両国の小松屋喜兵衛が妻の名を付けて売り出した。
いこう【衣桁】
着物などをかけて置くための、衝立や屏風の形状をした家具。
鳥居のような形をした枠だけのものが多い。 「大勢で―‐に褌ふんどしと解く。(二人旅)」
いしかわごえもん【石川五右衛門】
安土桃山時代の大泥棒。京都三条河原で釜茹での刑にされた。(1558?~1594)
「―‐てえ人、知ってっか?(強情灸)」
いしけん【石拳】
拳の一。現在のじゃんけんに当たる遊技。
いしね【石根】
駒留石のあたり。 「―‐のすみに控えておれ。(垂乳根)」
いしやま【石山】
滋賀県大津市の一地区名。近江八景の一、石山の秋月で知られる観月の名所。石山寺の略。
いしやまでら【石山寺】
石山にある真言宗の寺。山号を石光山。近江八景の一。石山の秋月で知られる名勝。
紫式部が源氏物語を執筆した地としても知られる。
いしやましゅうげつ【石山の秋月】
近江八景の一。石山寺の奇岩を照らす秋月の景観をいう。
いしゅがえし【意趣返し】
恨みを晴らすこと。復讐。
いすわり【居座り】
昼席に出演した演者が、夜席にも出演するために残ること。居残り。
いずもたいしゃ【出雲大社】
島根県簸川ひかわ郡大社町杵築きずき東にある神社。
祭神は大国主命。社殿は大社造りと称し、日本最古の神社建築様式。いずものおおやしろ。杵築大社。
縁結びの神として知られ、陰暦十月に日本国中の神々がここへ参集し、縁結びを行うという俗信がある。
この俗信に基づき神無月かんなづきが陰暦十月の異称になったといわれ、出雲では神在月かみありづきと称す。
いずものおくに【出雲阿国】
阿国歌舞伎の創始者。歌舞伎の祖。出雲大社の巫女みこと称していたが出身地、生没ともに不詳。慶長八年(1603)京都四条河原で念仏踊を興行して人気を博し、歌舞伎踊にまで発展させた。
いせじんぐう【伊勢神宮】
三重県伊勢市にある神社。正式名称は神宮。祭神は天照大神、神体は八咫鏡やたのかがみ。皇居の祭祀する社で古くは一般の参拝は禁じられていたが、中世以降民間の参拝が盛んになった。
いそうろう【居候】
誰々宅に居り候の意。食客。 「―‐してるんだから、気兼ねしてんだよ。(湯屋番)」
いそのあわび【磯の鮑】 一行あらすじへ
鮑が片貝であるところから、片思いをいう。磯の鮑の片思い。
いた【板】
舞台や講座のこと。「―‐付き」「空―‐」
いたがしら【板頭】
岡場所の家で最上位の女郎。吉原の御職に相当する。板元いたもと。
「―‐をつとめておりましたおそめ。(品川心中)」
いたこ【潮来】
茨城県南東に位置する水郷の町。東回り水運の中継港として繁栄。
鹿島・息栖・香取の水郷三社詣での中間地として、多くの船客で繁盛し、妓楼、茶屋が軒を並べていた。
いたこぶし【潮来節】
江戸後期、潮来の舟唄「浮かれ草」が座敷唄として流行。
「潮来出島の真菰まこもの中に、あやめ咲くとはしおらしや」が元歌。
これに様々な替え歌ができ、神戸節ごうどぶしを経て、都々逸節となる。
いたしょうじ【板障子】
木枠の中に板を組み込んだものを、柱と柱の間にはめ込んで仕切った障子。いたそうじ。
板に絹布を貼って絵を描いたものを儀式の時などにはめ込んで、装飾としても用いた。
後に中国から渡来した唐紙を絹布の変わりに貼ったものを、唐紙障子と呼ぶ。
いたつき【板付き】
芸人が高座に上がったまま幕が開き、芸が終わると幕が閉じること。足が不自由な芸人などの場合に行う。
いたばし【板橋】
東京都板橋区の一地区。江戸四宿の一。中山道第一番目の宿場として繁栄した。
「―‐に縁切り榎というのがあるそうで。(縁切り榎)」
いちじつさんしゅう【一日三秋】
一日会わないと三年も間会わないようだの意。非常に思い慕うこと。また、待ち遠しいこと。一日千秋。
いちじつせんしゅう【一日千秋】
一日三秋と同じ。
いちじょうしかん‐いん【一乗止観院】
根本中堂の別称。延暦寺の古称。
いちぜんめし【一膳飯】
1)器に盛りきりにして供する飯。一膳飯屋で売る飯。 「―‐あり、やなぎや、って読むんだ。(二人旅)」
2)出棺の際、近親者が食べる一杯ずつの飯。そのため平常は一膳飯を忌む。
いちぜんめしや【一膳飯屋】
一膳飯を食べさせる店。 「上尾宿の―‐一で、(おさん茂兵衛)」
いちのたに【一谷】
神戸市須磨区の六甲山南西端にある地名。源氏と平家の一ノ谷の戦いで知られる。
北方には源義経軍が馬で駆け下りたと伝わる鵯越ひよどりごえがある。
いちのたにのたたかい【一谷の戦】
寿永三年(1184)一ノ谷を拠とし、須磨に陣を布く平家を源氏が攻撃した戦。
源氏が鵯越の逆落としと伝わる奇襲で圧勝。大敗した平家は屋島へと逃げ延びる。
いちばんだいこ【一番太鼓】
寄席の開演三十分ほど前に打つ太鼓の曲名。略して一番という。
いちぶ【一分】
1)尺貫法で、一寸の十分の一。「―‐線香即席噺」
2)江戸時代の貨幣単位で、一両の四分の一に換算。貨幣としては二分金、一分金、一分銀があった。
いちぶせんこうそくせきばなし【一分線香即席噺】
線香が一分ともる間に、一つの小噺を作ること。
いちまいかんばん【一枚看板】
看板で客を呼べるほど人気のある芸人。大看板。大真打。
いちもうだじん【一網打尽】
網を打って一度に多くの魚を取り尽くすことから、犯罪者や一味の者を残らず捕えること。
いちもくおく【一目置く】
碁を打つ際、弱い方が先に石を置いて始めるところから、相手の力量に敬意を表し、一歩譲って接すること。
いちもん【一文】
江戸時代の貨幣単位で、一両の四千分の一に換算。日本で初めて鋳銭された銭貨は寛永通宝の一文銭。
寛永通宝一文銭の直径、八分を一文とした足袋などの長さの単位。某師曰く、どちらもおあしの単位。
いちもんせん【一文銭】
1)一文通用の穴明銭。明治四年(1871)の新貨との交換比率は寛永通宝銅一文銭が一厘と決められた。
この比率は額面ではなく、素材質量で決めたため、寛永通宝鉄一文銭は十六枚で一厘とされてしまう。
2)きわめて少しの銭。
いちりょう【一両】
江戸時代の貨幣単位。小判一枚が一両。
いちろくぎんこう【一六銀行】
一と六の和である「七}と同音の「質」にかけた質屋の俗称。
いっか【一荷】
天秤棒の両端に荷物を下げて一人で担げる量。 「―‐入りの壺(壺算)」
いっかいりのつぼ【一荷入りの壺】
水屋が一回で運ぶ量を入れるのに丁度よい大きさの壺。 「今、―‐を買ったんだが、(壺算)」
いつくしま【厳島】
広島湾南西部の島。日本三景の一。面積約30平方キロメートル。最高所は標高530メートルの弥山みせん。島全体が覆われる原始林は国の天然記念物。北岸に厳島神社がある。宮島。
いっしそうでん【一子相伝】
技や奥義をわが子の中の、ただ一人だけに伝えること。
いっしゅ【一朱】
江戸時代の貨幣単位で、一両の一六分の一に換算。
貨幣としては二朱金、二朱銀、一朱金、一朱銀があった。
いっせき【一席】
落語を数える単位。「お笑いを―‐」「―‐やる」
いっちゅうぶし【一中節】
浄瑠璃の流派の一。京都の都太夫一中みやこだゆういっちゅうの創始。
趣味人や上層階級に好まれ早くから江戸にも伝わり、吉原を中心に伝承。伝統的に上品と見なされている。この流派から豊後節ぶんごぶしが派生。 「―‐、河東節のことを申すのでげすよ。(羽織の遊び)」
いつづけ【居続け】
妓楼などで遊び続け、家に帰らないこと。
いってれつ【一手列】
寄席の楽屋符丁で、いい加減に。そこそこに。「―‐に演る」
いつのぶとん【五幅蒲団】
鯨尺で一尺幅ほどの布を、裏表五枚で仕立てた蒲団。五布いつぬの蒲団ともいう。
「―‐を借りまして。(鰍沢)」
いどがえ【井戸替え】
井戸の中を掃除すること。井戸の中に大きな桶を降ろし、井戸を使用する人達が総出で水をあらかた汲み上げ、
井戸の中へ入った者が、一年間溜まった落ち葉や落下物などを拾い上げて中を清掃した。
一般的に七月七日に行う夏の行事。いどさらえ。 「―‐の夢を見ました。(つるつる)」
いどさらえ【井戸浚え】
井戸替えと同じ。井戸浚いともいう。
いとわっぷ【糸割符】
江戸時代の制度で、外国貿易生糸の一括購入を許された特定の商人。
いながわ【稲川】 一行あらすじへ ⇒ いながわまさえもん
いながわじろきち【稲川次郎吉】
落語千両幟の主人公。稲川政右衛門に擬す。
いながわまさえもん【稲川政右衛門】
江戸時代の関取。摂津出身。実家が造り酒屋で、銘酒「猪名川」からの銘々。(1739~1800)
動きの激しい相撲で人気を博し、浄瑠璃・歌舞伎・落語などで、千両幟の題材となる。
いなせ【鯔背】
髷まげを鯔背銀杏に結うのが粋いきとされたことから、粋で勇み肌の若者。また、その容姿や気風。
いなせいちょう【鯔背銀杏】
江戸日本橋の魚河岸の若者の結った髷まげで、形を鯔いなだの背に似せたもの。
いなだ【鯔】
出世魚と呼ばれる鰤ぶりの成長過程で、体長約40センチメートル前後の若魚の呼称。
関東ではイナダ、関西ではハマチと呼ばれる。因みに関東でハマチは養殖ものをいうことが多い。
いなむら【稲叢】
刈取った稲あるいは藁を積み重ねたもの。 「―‐の陰から尻尾のようなものが出ている。(王子の狐)」
いのかしらいけ【井之頭池】
東京都三鷹市井の頭にある池。神田上水の水源として江戸の飲料水に供していた。
古くは七井の池と呼ばれていたが、寛永六年(1616)徳川家光が水の源の意で名付けたと伝わる。その説によると、池の名を聞かれた土地の者が「七井」と答えたのを、家光が「無い」と聞き違えたという。周囲の自然林はもと帝室御料林で、大正二年(1913)東京市に払い下げられ、井之頭恩賜公園となる。
いのこり【居残り】 一行あらすじへ
1)遊郭などの勘定ができず、同行の者が支払いに来るまで、抵当のために残ること。また、その人。
「―‐を商売にしている佐平次という男。(居残り佐平次)」
2)居座り。
いびつ【歪・飯櫃】
飯櫃いいびつがつまった言い方。おはち。おひつ。めしびつ。
多くは楕円形であったところから、小判の異称。小判形。いびつなり。ゆがんでいるさま。「―‐な心」
いびつなり【飯櫃形・歪形】
小判形。ゆがんで形が整っていないさま。
いまど【今戸】
東京都台東区北東部の一地区。隅田川に臨み、今戸焼などで有名。
「―‐の方が閑静でいいから。(今戸の狐)」
いまどにんぎょう【今戸人形】
今戸焼の土人形。花魁・角力・福助・招き猫・狸・狐など。
いまどやき【今戸焼】 一行あらすじへ
1)今戸で生産した素焼の土器。灯心皿・人形などの素朴な焼き物。
「まあるい小さい―‐の火鉢を取り出します。(紫檀楼古木)」
2)今戸人形の顔にたとえ、不美人。醜い女。を言う語。
いまよう【今様】
1)現代的。いまふう。今のはやり。
2)今様歌の略。
いまよううた【今様歌】
平安中期から鎌倉初期にかけて流行した新様式の歌謡。特に七五調四句のものが代表的。
白拍子しらびょうし・遊女などが歌い、貴族の中にも流行。
いもつなぎ【芋つなぎ】
後に上がる芸人が遅れているときなどに、一席を延ばすことができず、違う噺を続けてやること。
そのことが善し悪しではなく、結果で決まる。
いもりのくろやき【井守の黒焼】 一行あらすじへ
雄雌のイモリ焼いて粉末にしたもの。惚れ薬といわれる。
想う相手に振り掛けたり飲ませたりすると、相手が惚れるという俗信。
いよすだれ【伊予簾】
伊予国上浮穴かみうけな郡で生産される篠を細く削って編んだ良質のすだれ。いよす。
「庭に水新し畳―‐透綾縮に色白の髱(狂歌) (青菜)」
いり【入り】
1)客の入り具合。
2)芸人が楽屋へ入ること。
3)まくらから本題にはいるところ。
いりあい【入会】
一定の人々に一定の範囲で、草木・鳥獣・魚介などの採取を許すこと。「―‐地」「―‐権」
いりあい【入相】
日の入りの頃。夕暮。「―‐時」
入相の鐘の略。
いりあけん【入会権】
入会地を利用する権利。
いりあいち【入会地】
入会の権利が許されている山林・漁場など。
いりあいどき【入相時】
薄暮時。夕暮れ時。日没時。
いりあいのかね【入相の鐘】
夕暮れに寺で撞く鐘。また、その鐘の音。晩鐘。
いれかけ【入れ掛け】
客の入りが少ない場合に丸札を配りその日の寄席を中断すること。現在は無くなった。
いれがみ【入れ髪】 一行あらすじへ
生えている毛髪の他に、切り取った自毛や他人の毛髪を足し添えて結うこと。
また、そのための毛髪。添え髪。かもじ。
いれもの【入れ物】
寄席・演芸場・ホールなど、お客を入れる器の意。小屋。箱。
いろぢゃや【色茶屋】
遊里で遊女や芸者を揚げて遊興する家。
揚げ屋との格式の差が有りを太夫、天神、格子などを揚げることはできない。ちゃや。
いろは【伊呂波】
1)いろは歌の最初の三字で、いろは歌四十七文字の総称。
「いろはにほへとちりぬるをわかよたれそつねならむうゐのおくやまけふこえてあさきゆめみしゑひもせす」
また、仮名文字の手本として「ん」や、伊呂波歌留多では「京」を加えた四十八字。
2)手習いの始めに「いろは」を習うことから、物事の初歩。
いろはうた【伊呂波歌】
手習い歌の一。仮名四十七文字を重複せずに作った歌で、最も親しまれているもの。
「色は匂へど散りぬるを我が世誰ぞ常ならむ有為の奥山今日越えて浅き夢見じ酔ひもせず」の七五調四句。
いろもの【色物】
落語以外の演芸。寄席では落語以外の演芸を赤い文字で書いたところから言う。
いわみぎんざん【石見銀山】
1)島根県西部の江戸幕府直轄の領地で、幕末まで銀の採掘を行っていた銀山。
2)(1)の領地で産出した鉱石の砒素ひそで生産された殺鼠さっそ剤、石見銀山ねずみとりの略。
また、その薬が入った箱を肩から提げ、幟を持って売り歩いた行商人。
「―‐が夕立にあったようななりをして居りますな。(祇園祭)」
いんきょ【隠居】
1)世事を捨て、閑静な地に居すること。
2)戸主が子孫に家督、家禄を承継させること。また、その人。 当主の現存の親。
「岩田の御―‐からのお手紙ですな。(天災)」
3)江戸小伝馬町の牢内囚人の顔役。
いんぎょう【印形】
印鑑。はんこ、また、それを押したもの。 「―‐が無いぞ。(火焔太鼓)」
いんげん【隠元】
黄檗山万福寺を創建し日本黄檗宗の開祖。江戸時代に中国から日本に渡来。
「沢庵木庵―‐禅師貼り混ぜの小屏風。(錦明竹)」
いんもん【印文】
お守り。守り札。護符。 「善光寺の御―‐。(お血脈)」
いんねん【因縁】
結果が生ずる直接的原因(因)と間接的条件(縁)
1)運命による関係。きっかけ。縁やゆかり。
2)由来。来歴。いわれ。 「曰く―‐故事来歴があったわけだ。(道灌)」
3)言いがかり。 「何か―‐を付けられたんじゃ。(質屋庫)」
う 【豆知識の目次へ】 【あ行の最上段へ】
うえの【上野】
1)東京都台東区西部の一地区。寛永寺があり、桜の名所として江戸時代からの行楽地。
「―‐の清水さまへ行ったんだよ。(崇徳院)」
2)三重県西部の一地区。伊賀上野。松尾芭蕉の生誕地。
うえむらぶんらくけん【植村文楽軒】
人形浄瑠璃芝居の経営者。
初代文楽軒は 本名、道具屋与兵衛。淡路より大坂に進出、道頓堀に操人形の座を創設。(1751~1810)
三代目は 明治五年(1872)座を松島に移転し文楽座と名付けた正井大蔵。
のち文楽翁と呼ばれる。(1813~1557)
うおがし【魚河岸】
河岸の魚市場。 「この、―‐尼。(厩火事)」
うかれぶし【浮かれ節】
三味線にあわせて唄う俗曲。歌祭文から転化したもので、やがて浪花節へと進化。
うきな【憂き名・浮名】
1)いやな評判。悪い評判。
2)浮名の字を当て、男女間のつらい評判。浮いたうわさ。「―‐を流す」
うきなをながす【浮名を流す】
悪い評判が世間に広まること。特に、男女間の浮いたうわさが広まること。
うきみどう【浮御堂】
大津市堅田にある海門山満月寺の通称。仏堂を琵琶湖の水面に浮かぶように造ったところからの称。
近江八景の一、堅田の落雁で知られる。
うきよ【憂き世・浮世】
1)無常な世の中。生きることの苦しい世の中。
2)この世の中。世間。人生。
3)他の語に冠して、現代的・当世風・好色の意。「―‐絵」「―‐風呂」
うきよこうじ【浮世小路】
東京都中央区日本橋室町にあった一地区。日本橋室町二丁目から国道四号線に出る一方通行路。
その名の由来は、通りにあった浮世茣蓙を売る店からとも、湯女を置いた風呂屋からともいわれる。
別名「食物新道」といわれ、百川楼があった。
「日本橋の―‐に百川という会席料理がございます。(百川)」
うきよござ【浮世茣蓙】
碁盤模様を交互に浮き沈みさせた折り方の茣蓙。
うけだす【請け出す】
借金を払って、質に置いた品物をひきだす。請け戻す。受ける。
抱え主に前借金を償って娼妓などを自由の身にする。身請けする。
うけやど【請宿】
奉公人の身元を引き受ける家。桂庵。口入れ屋。
うける【受ける】
1)請け出す。
2)芝居などで喝采をはくす。寄席などで笑いをとる。転じて、評判がいい。気に入られる。
うこん【鬱金】
ショウガ科の多年草。アジア熱帯原産。黄染草きぞめぐさとも呼ばれ、根茎は染料・止血剤・胃建剤とする。また、根茎からとった黄色の染料や、それで染めた濃くて鮮やかな黄色をいう。
うこんもめん【鬱金木綿】
鬱金色に染めた木綿。 「どうです?―‐のふんどしなんてえのは。(錦の袈裟)」
うじ【宇治】
京都府南部の一地区。宇治川の谷の入口に位置し、茶の名産地。
「―‐の酒というのが有るか。(長屋の花見)」
うじがわ【宇治川】
京都府宇治市域を流れる川。瀬田川の下流。桂川と合流して淀川となる。
うじこじゅう【氏子中】 一行あらすじへ
同一の氏神を祀る人々。
うしごめ【牛込】
東京都新宿区東部の一地区。江戸時代からの名称で、もと東京市三十五区の一。
「場所は―‐高田馬場がよかろう。(高田馬場)」
うしのごぜん【牛の御前】
墨田区向島一丁目四番地にある牛嶋神社のこと。明治維新前は眼黄不動で知られる最勝寺の別当であった。
明治初年の神仏分離後、牛の御前の社名を牛嶋神社と改め本所区向島須崎町七十八番地へ移す。
関東大震災後の、帝都復興計画に伴い、現在の場所に再建された。
「―‐へ日参をしているんだ。(牛の嫁入り)」
うしみつ【丑三つ】
丑の刻を更に四分割したうちの三っつめの意。今の時刻で二時から二時半頃。
一説には三時から三時半頃とも言われる。 「ちょうど時刻が―‐でございますので。(応挙の幽霊)」
うしろまく【後ろ幕】
真打昇進や襲名などのとき贔屓筋から贈られる幕で、高座の後ろに張るもの。
うしわかまる【牛若丸】
源義経の幼名。 「鞍馬より―‐がいでまして、その名を九郎判官くろうほうがん。(青菜)」
うずらもく【鶉杢】
ウズラの羽色のような木目。木目が細かく大樹である屋久杉の異称。 「天井は薩摩の―‐。(牛褒め)」
うたざいもん【歌祭文】
江戸時代に行われた祭文の一種。後には世俗の出来事を取り上げ俗謡化した。でろれん祭文。
うたざわぶし【歌沢節・哥沢節】
俗曲の一。端唄を主体に他の音曲を加味し、ゆったりと長くうたう。
創始者は旗本の笹本彦太郎(歌沢笹丸)。笹丸没後歌沢虎右衛門が歌沢派二代目。
笹丸と共に歌沢節創始につとめた哥沢芝金が分派独立し、哥沢派を樹立し二派となる。
うちかけ【打掛け】
小袖形式で裾の長い和装上着。帯を締めず打ち掛けて着るもので、現在も婚礼衣装として用いる。
うちだし【打ち出し】
寄席の終演。はね。
また、そのときに打たれる太鼓の曲名。追い出し。
うつりかえ【移り替え】
季節のころもがえ。遊里などでは着物を飾り、夜具を積み上げて、ご馳走するなど出費が多い。
「このままじゃ紋日の―‐ができない。(品川心中)」
うのはな【卯の花】
豆腐の絞りかす。おから。雪花菜きらず。 「たとえ―‐でも黙って食えば泥棒だよ。(甲府い)」
うば【乳母】
母に代わって子に乳を飲ませる女。また養育する女。
うぶ【初・初心】
ういういしいこと。世間ずれがしていないこと。 男女の情を解しないこと。「―‐な娘」
うまに【旨煮・甘煮】
具材を、甘辛く煮つけた料理。
うまみち【馬道】
東京都台東区花川戸から浅草三丁目に至る一体の地名。新吉原へ通う遊客が馬で通った道の意。
「―‐の当たりに夜明かしが出てたんで、(粗忽長屋)」
うまや【厩】
馬小屋。 「孔子の留守に―‐から火が出て。(厩火事)」
うまやばし【厩橋】
本郷亀戸線の隅田川に架かる橋。西岸が蔵前・駒形、東岸が本所で、明治七年(1874)御厩の渡し場に架橋。
うめばち【梅鉢】
紋所の名。梅の花をかたどったもの。 「―‐てえものが、紋にあるだろう。(狸賽)」
また、梅鉢文様を描いた陶磁器や、囲碁で梅鉢に似た石の並び方などをいう。
うもれぎ【埋木】
久しく、水中または土中に埋もれ、半ば炭化した木。黒茶色で材質が堅く、細工物に用いる。
「鉄刀木や言うておりましたが―‐やそうで、(錦明竹)」
うらながや【裏長屋】⇔表長屋
棟割長屋の裏通りや路地に面した側。また、裏通りに建っている長屋。 「―‐の御浪人から、(井戸の茶碗)」
うらをかえす【裏を返す】
同じ遊女を二度目にまた呼ぶこと。
うわぞうり【上草履】
屋内で用いる草履。 「ばたばた―‐の音がする。(品川心中)」
うわばみ【蟒蛇】
1)大蛇。 「―‐が人間を飲み込む、(蛇含草)」
2)大酒飲みのたとえ。
うんすい【雲水】
雲と水から、行方定めぬ修行僧。 「愚僧は諸国行脚―‐の僧にございます。(蒟蒻問答)」
転じて自由気ままな旅。
うんつく 一行あらすじへ
知恵の足りない者を軽蔑していう語。まぬけ。あほう。
え 【豆知識の目次へ】 【あ行の最上段へ】
えいたいばし【永代橋】 一行あらすじへ
元禄十一年(1698)日本橋箱崎町と深川佐賀町の間に架けられた隅田川下流の橋。
えこう【回向】
死者の成仏を祈ること。「―‐院」 「ねんごろに―‐をしてやったんだが、(野晒し)」
えこういん【回向院】
東京都墨田区両国にある浄土宗の寺。明暦の大火の死者十万八千体を埋葬した無縁塚に開創。
山号を国豊山、寺号を無縁寺。天明元年(1781)以後境内で勧進相撲を興行したのが大相撲の起源。
「あくる日になりまして―‐の境内、千秋楽。(佐野山)」
えしき【会式】
日蓮宗で宗祖の忌日、十月十三日に営む法会。おえしき。
えぞ【蝦夷】
1)古代の北関東・東北・北海道にかけて住み、大和朝廷に抵抗し、服従しなかった人びと。
2)北海道の古称。蝦夷地。
えちごじし【越後獅子】
越後から来た子供が門付して歩く獅子舞曲芸。
西蒲原郡月潟村から来た、親方と呼ばれる男が獅子頭を付けた子供の芸を見せて、各地をまわった。
江戸では宝暦頃から盛行したが、大道芸としては明治末頃に衰微。「角兵衛獅子」「蒲原獅子」
えてもの【得手物】
例の物。あのこと。 「ああ、あれ、―‐でしょう?(居残り佐平次)」
えと【兄弟・干支】
兄弟は、陰陽をあらわし、兄えは陽、弟とは陰とされる。これを五行と組み合わせたものを十干という。
干支は、十干と十二支を配した六十種類の総称。
えどがわ【江戸川】
隅田川の分流。神田川のうち、文京区関口から千代田区飯田橋あたりの呼称。
えとき【絵解き】
1)絵の意味を解説すること。また、その人。
2)絵に描いて説明すること。
3)転じて口頭で説明することをもいう。 「それじゃあ、その―‐をしましょうかね。(藁人形)」
えどごしきふどう【江戸五色不動】
寛永年間中期、三代将軍家光が指定した江戸府内の不動尊。
目黒不動・目白不動・目赤不動・目青不動・目黄不動。
色は方位、または、地・水・火・風・空を表すともいわれる。
えどらくご【江戸落語】
上方落語に対して関東の落語をいう。
鹿野武左衛門の辻噺が発祥。主に江戸を中心に継承発展した。東京落語。
えな【胞衣】
退治を包んでいる膜や胎盤などの総称。 「―‐を荒神様の御神酒で洗うと、(氏子中)」
えなおさめ【胞衣納】
胞衣を捨てること。産後五日、または七日に桶や壺などに納め、恵方を選んで埋めた。
えびす【恵比寿・夷・戎・蛭子・恵比須】
七福神の一。鯛を釣り上げる姿で表される漁業の神。また商売繁昌の神・福の神として祀られる。
「―‐様のように、みんなにこにこ笑ってな。(かつぎや)」
えびすばし【戎橋】
大阪市中央区を流れる道頓堀川の道頓堀と宗右衛門町を結ぶ橋。
道頓堀川開削に伴い区住民によって架けられた。
南橋詰めに竹本座があったことから操り橋あやつりばしとも呼ばれた。
えほう【恵方】
その年の歳徳神としとくじんがいる方角。「―‐参り」
えほうまいり【恵方参り】 一行あらすじへ
元日に、恵方に当たる神社仏閣を参詣すること。恵方詣。 「―‐に出掛けるんだ(山号寺号)」
えもんざか【衣紋坂】
新吉原の日本堤から大門の間にあった坂。遊客がこのあたりで衣服を整える意の称という。
えんきりえのき【縁切榎】 一行あらすじへ
中山道板橋宿にある榎。この木の下を嫁入り、婿入りの行列が通ると不縁になるという信仰から、
この木の皮を削って飲ませると縁が切れると伝えられる。
現在の榎は三代目であるが、この木に祈ると男女の縁が切れるという信仰は続いている。
「板橋に―‐というのがあるそうで。(縁切り榎)」
えんげい【演芸】
公衆の前で演ずる落語・講談・漫才・演劇・舞踊などの芸の総称。
えんげき【演劇】
演者が作者の筋書に従い、その意思を表現して観せる舞台芸。芝居。狂言。
えんしゅうそうほ【遠州宗甫】
江戸時代の茶人で小堀遠州。(1579~1647) 「寸胴の花活けには―‐の銘がございます。(錦明竹)」
えんしゅりゅう【遠州流】
小堀遠州を祖とする、茶道・華道の流派。
えんしょう【艶笑】
1)なまめかしく笑うこと。
2)おかしみを含んだ性風俗描写。艶っぽい笑い。「―‐噺」「―‐落語」「―‐小噺」
えんしょうこばなし【艶笑小噺】
男女間の艶っぽい笑いを題材にした短い噺。
えんしょうばなし【艶笑噺】
一席のなかに、男女間の艶っぽい笑い盛り込んだ噺。
えんしょうらくご【艶笑落語】
艶笑噺。
えんすけ【円助】
明治時代の花柳界で使われた符丁で、一円の意。
えんやはんがん【塩谷判官】
仮名手本忠臣蔵の登場人物で、名を高定。赤穂城主浅野匠守長矩に擬する。
太平記の塩冶高貞の名を借りたもの。
えんりゃくじ【延暦寺】
滋賀県大津市坂本本町にある天台宗の総本山。山号を比叡山。
延暦七年(788)最澄さいちょう建立の一乗止観院いちじょうしかんいんが起源。
お 【豆知識の目次へ】 【あ行の最上段へ】
おいだき【追炊き・追焚き】 一行あらすじへ
1)炊いた飯が不足して、さらに炊き足すこと。
2)風呂の湯がさめて、もう一度焚き直すこと。
おいだし【追い出し】⇒うちだし
おいらん【花魁】
郭で下級の者が姉女郎を「おいらんとこのあねさん」と呼んだのが基と言われている。
吉原の遊郭で、姉女郎。後に上位の遊女の称。 「―‐は口では帰れと言いますが、(明烏)」
おいわいなり【お岩稲荷】
東京都新宿区左門町の田宮神社にある、四谷於岩稲荷。
四谷怪談のお岩を祀ったとされる。四谷稲荷。左門町稲荷。
おうきょ【応挙】⇒まるやまおうきょ
「―‐が描いた幽霊の掛け軸でございます。(応挙の幽霊)」
おうじ【王子】
東京都北区の一地区。元亨二年(1322)岸村に王子神社が祀られて以降、周囲にこの地名が定着。
「―‐のお稲荷さんが御座いまして、(王子の狐)」
おうじいなりじんじゃ【王子稲荷神社】
東京都北区岸町一丁目にある稲荷神社。千年以上昔に岸村に祀られ「岸稲荷」と称していた。
元亨二年(1322)近隣の地に領主豊島氏が、紀州の熊野神社を勧請し王子神社を祀った。
以後地名も王子と改まり、王子稲荷神社と改称された。
おうしゅう【奥州】
福島県白河以北・宮城・岩手・青森の三県と秋田県の北部。
おうしゅうかいどう【奥州街道】
五街道の一。江戸日本橋から板橋へ出て、宇都宮で日光街道と分岐し奥州白河に至る街道。
おうしゅくばい【鶯宿梅】 一行あらすじへ
1)村上天皇の時、殿舎の梅が枯れたので、紀内侍きのないしの庭から紅梅を移植させたが、
「勅ちょくなればいともかしこし鶯の宿はと問はばいかが答へむ」という歌がつけてあったので、
天皇は深く感じ梅を返したという故事。また、その梅。
2)歌詞の中の「鶯宿梅じゃないかいな」から、端唄「春雨」の別名。
おうのまつ【阿武松】 一行あらすじへ ⇒おうのまつみどりのすけ
おうのまつみどりのすけ【阿武松緑之助】
鳳至郡鵜川村七見(現・能都町七見しつみ出身の関取。(1800~1851)
文化十二年(1815)蒻屋柳屋に奉公。まもなく能登出身の力士、武隈たけくま文右衛門に弟子入りし小車おぐるま。
技の上達が見られず挫折するが、錣山しころやま喜平治の門に移り、小緑こみどりとなり稽古に励む。
同年の冬場所に小柳と改名し、東方序の口。文政九年(1826)十月大関昇進。
翌十年(1827)三月阿武松緑之助と改名。
おうばくさん【黄檗山】
京都宇治にある万福寺の山号。 「自在は―‐錦明竹。(錦明竹)」
おうまやのわたし【御厩の渡し】
蔵前と本所間の渡し。西岸に有った幕府の厩からの呼称。おんまやのわたし。おんまいのわたし。
元禄三年(1690)主に武士が利用するために始まり、町人や馬からは二文の船賃を徴収した。
明治七年(1874)厩橋の架橋により廃止。 「橋のない時分は―‐おんまやのわたしと申しましてな、(巌流島)」
おうみ【近江】
滋賀県の旧国名。淡海あわうみの転訛で、琵琶湖を指す。「―‐八景」
「ご案内の―‐の湖水、ただ今の琵琶湖には、(近江八景)」
おうみはっけい【近江八景】 一行あらすじへ
琵琶湖南部にある八カ所の景勝地。湖南省洞庭湖どうていこの南にある、瀟湘八景しょうしょうはっけいに擬す。
粟津の晴嵐・石山の秋月・堅田の落雁・瀬田の夕照・比良の暮雪三井の晩鐘・八橋の帰帆。
「―‐を文の中へ綴り込んだところは……。(近江八景)」
おうむがえし【鸚鵡返し】
人の言葉をそのまま繰り返すこと。
人に教えられたことを同じに話そうとするが、うまくいかず失敗するという類の落語。
おえどにほんばしてい【お江戸日本橋亭】
東京都中央区日本橋にある多目的ホール。
月の二十一日から二十七日の平日に、落語芸術協会の昼席が開催されている。
おえどひろこうじてい【お江戸広小路亭】
東京都台東区上野にある多目的ホール。
月の一日から十五日に、落語芸術協会の昼席が開催されている。
おおいがわ【大井川】
静岡県中部を流れる川。赤石山脈に発源し、駿河湾に注ぐ。
江戸時代には、架橋・渡船が禁じられ、旅人は人足の肩車や輦台れんだいを雇って渡った。「越すに越されぬ―‐」
おおいしくらのすけ【大石内蔵助】
赤穂浅野家の家老大石良雄の通称。
おおいしちから【大石力】
赤穂浪士の一人。赤穂浅野家の家老大石良雄の長子。
おおいしよしお【大石良雄】
正しくはおおいしよしたか。赤穂浅野家の家老で赤穂浪士の頭領。通称、内蔵助くらのすけ。
元禄十五年(1702)十二月十四日、同志と共に本所松坂町吉良義央よしなかの屋敷へ討ち入り、
主君長矩ながのりの仇を討つ。
翌十六年二月四日切腹。(1659~1703)
おおいちざ【大一座】
1)大喜利の異称。
2)大人数。特に団体で遊里へ行くこと。「―‐振られた者が起こし番(川柳)(錦の袈裟)」
おおいりぶくろ【大入り袋】
興行の客が沢山入ったとき、興行主が出演者や関係者に出すご祝儀。またそれを入れる袋。
おおおかえちぜん【大岡越前】
江戸中期の町奉行大岡忠相。 「奉行は―‐に奪われる。(山岡角兵衛)」
おおおかせいだん【大岡政談】
江戸南町奉行大岡越前の裁きに仮託した講談や小説などの脚本。
おおおかただすけ【大岡忠相】
江戸中期の町奉行。大岡越前守。(1677~1751)
山田奉行(伊勢の遠国奉行)当時、紀州と神宮の国境紛争で、徳川家の威光を恐れぬ裁きに吉宗が感動。
吉宗が八代将軍となった亨保二年(1717)忠相を江戸へ呼び寄せ町奉行を命じ、二十年間就任。
元文元年(1738)六十才で寺社奉行。寛延元年(1748)三河の国西大平藩一万石の大名に昇格。
おおかわ【大川】
1)東京では隅田川の大川橋から下流の異称。 「四方の山々雪解けて、水かさ増さる―‐の、(野晒し)」
2)大阪では淀川下流の異称。
おおかわばし【大川橋】
現在の吾妻橋の古称。安永三年(1774)大川の「竹町の渡し」があった場所に地元住民が架橋。
橋銭を徴収して、普請の足しにしていたが、頻繁に水害に遭い赤字だった。
別名「東橋」と呼ばれていたが、明治九年(1876)の架け替えで、吾妻橋が正式名称となった。
おおかんばん【大看板】⇒いちまいかんばん
おおぎょう【大行・大形】
1)大規模。大仕掛け。
2)大仰と書き、おおげさなこと。 「―‐だよ(浮世床)」
おおぎり【大喜利】
寄席の最後に行うので切りと言い、トリの技量が無く、客を呼べないときなどに大勢でやる珍芸的な出し物。
おおさかしんまち【大坂新町】
江戸時代幕府公認の遊郭あった場所の地名。また、その遊郭の称。
現在の大阪市西区新町一丁目、新町北公園がその跡地。
遊郭は昭和三十一年(1956)売春防止法により廃止。
おおさかなつのじん【大坂夏の陣】
元和元年五月(1615)徳川氏が豊臣氏を滅ぼした戦い。
徳川方が冬の陣の和議を無視して、大坂城の内濠まで埋めたことに憤激し、再び兵を挙げた豊臣方が滅びる。
おおさかふゆのじん【大坂冬の陣】
慶長十九年十一月(1614)豊臣氏を滅ぼそうと謀る家康が大坂城を攻めた戦い。
城が堅固で落し切れず、翌十二月いったん和議を結ぶ。
おおさんばし【大桟橋】
江戸山谷堀にかかっていた桟橋。吉原通いの発着場であった。
「―‐までやってくれるかい?(船徳)」
おおししょう【大師匠】
1)落語界に大きな貢献のあった師匠に称される敬称で、三遊亭圓朝に代表される。
2)一門の総師。自分から見て、師匠の師匠に当たる人。
おおしま【大島】
1)鹿児島県南部最大の島。通称、奄美大島。黒糖・大島紬を産する。
2)伊豆半島の東方にある東京都の島。通称、伊豆大島。椿油を産する。三原山で知られる火山島。
3)大島紬の略。
おおたどうかん【太田道灌】 一行あらすじへ
江戸城、河越(川越)城などを築いた室町中期の武将。(1432~1486)
山吹伝説の太田持資。長禄二年(1458)入道して道灌となる。 「―‐公となられたお方だ。(道灌)」
文明十八年(1486)道灌を陥れる言葉を信じた主君に伊勢原の糟屋の館で謀殺される。
おおだな【大店】
大規模な商家。
おおたなんぽ【大田南畝】
江戸時代後期の幕臣。狂歌師・戯作者としても知られる。(1749~1823)
別号を蜀山人しょくさんじん・四方赤良よものあから・山手馬鹿人やまてのばかひと・寝惚先生ねぼけせんせい。
「万載狂歌集」「徳和歌後万載集」「鯛の味噌津」「道中粋語録」「一話一言」などを著す。
おおたもちすけ【太田持資】
江戸城、河越(川越)城などを築いた室町中期の武将。(1432~1486)
文武両道に長け、後に入道して道灌となる。 「山中へ狩競に出た―‐公。( 道灌)」
おおだんな【大檀那・大旦那】
1)多くの布施をする檀那。寺の有力な檀家。
2)旦那親子の親の方⇔若旦那。
おおて【大手】⇔搦手
城の正門。大手門。
おおてまち【大手町】
東京都千代田区の一地区。江戸城大手門の門前に因む地名。
おおてもん【大手門】
城の正門。
おおどしま【大年増】
年増の中でも年かさの女。江戸時代には三十歳を越えた女をさす語。
おおはら【大原】
京都市左京区の一地区。おはらともいう。「―‐女おはらめ」
高野川に沿った小さな盆地で寂光院・三千院の古刹がある。
おおばん【大判】⇔小判
大形で楕円形の金貨と銀貨。「―‐金」「―‐銀」
おおばんきん【大判金】
大形で楕円形の金貨で、拾両と表記されているが、小判との比価は十枚以下。
おおばんぎん【大判銀】
大形で楕円形の銀貨で、幕府発行の貨幣ではなく好事家が作らせたもの。
おおびけ【大引】⇒おひけ
「―‐になると、見世の明かりが暗くなる。(お直し)」
おおぶろしき【大風呂敷】
1)大きな風呂敷。また、その包み。
2)現実に合わないおおげさな言葉。「―‐をひろげる」
おおぼしりきや【大星力弥】
仮名手本忠臣蔵の人物。赤穂浅野家の家老大石内蔵助くらのすけの長子、大石力に擬す。
おおぼしゆらのすけ【大星由良之助】
仮名手本忠臣蔵の人物。赤穂浅野家の家老大石良雄よしたか、通称、内蔵助くらのすけに擬す。
おおみせ【大見世・大店】
1)遊郭で格式の高い妓楼。 「―‐とくりゃあ玉代だって……。(居残り佐平次)」
2)大規模な構えの店。手広く商う店。おおだな。
おおむこう【大向う】
桟敷の後方にある劇場の立見席。また、そこにいる観客。一幕見の席で目の肥えた芝居好きが多かった。
「―‐を唸らせる」
おおむらひこたろう【大村彦太郎】
長浜(滋賀)の商人で、白木屋百貨店の前身、白木屋呉服屋の創始者。( 1635~1689)
父親を早く亡くし、母方の材木商に引き取られ、承応元年(1952)京都で材木商を始める。
寛文二年(1662)江戸日本橋通二丁目に進出。間口一間半の小切屋という小間物屋を出店。
寛文五年(1665)日本橋通一丁目に移り、呉服物へ手を拡げ、白木屋の繁栄がはじまる。
おおもん【大門】
遊郭の入り口にある門。吉原遊郭唯一の出入り口。 「―‐で止められます。(明烏)」
おおや【大家・大屋】⇔たなこ
江戸時代は家守をさす語であったが、現在では家主をもいう。
「―‐さんの処でご祝儀が有るんだよ。(鮑のし)」
おおやま【大山】
神奈川県中部に位置する標高1252メートルの山。別名雨降山あめふりやま。「―‐詣」
おおやまあふりじんじゃ【大山阿夫利神社】
神奈川県伊勢原市大山の頂上(標高1252メートル)に本社がある雨乞いの神社。
大山詣の講中が参拝する。
おおやまもうで【大山詣で】 一行あらすじへ
大山を参拝する山岳信仰。神奈川県伊勢原市大山阿夫利あふり神社参拝をいう。
宝暦の頃より、夏に白衣振鈴姿の講中参詣が盛行。
おかしらつき【尾頭付】
尾も頭もついたままの魚。とくに丸ごと一匹の鯛をいい、神事・祝事などの縁起物に用いる。
「これが―‐ってえのかい?(鮑のし)」
おかちん
女房詞で 餅のこと。かちんに、おを付けた詞。 「―‐の中から金が出ましたので。(かつぎや)」
おかばしょ【岡場所】
江戸にあった遊郭のうち,官許である吉原以外の私娼地。
おかべ【御壁】 一行あらすじへ
女房詞で 豆腐のこと。
おかる【お軽】
仮名手本忠臣蔵の人物。山崎の百姓与市兵衛の娘で、早野勘平の妻。
夫の仇討ちの資金のため祇園の一力楼に身を売る。
由良之助の密書を覗き見し、兄平右衛門に殺される。
おきや【置屋】
芸娼妓を抱えておき、揚屋・茶屋などからの注文に応じて芸娼妓をさしむけることを業とする家。
おくにかぶき【阿国歌舞伎】
江戸時代初期、出雲阿国いずものおくにと名乗る女性が、念仏踊や、狂言を卑俗的に演じた歌舞伎踊。
女歌舞伎、若衆歌舞伎、野郎歌舞伎を経て、 のちに歌舞伎へと発展。
おくみ【衽】
和服の前の左右にあって、上は襟えりにつながり下は褄つまに至る半幅の布。前身頃と後身頃の間の布。
おくら【御蔵】
1)江戸幕府の米を保管した倉庫。「浅草―‐」
2)企画や調査などが中止になること。使わずにしまっておくこと。「―‐入り」
おけちみゃく【御血脈】
1)血脈の丁寧語。
2)御血脈の御印文の略。
おけちみゃくのごいんもん【御血脈の御印文】
血脈の証とする印文。善光寺でこの印形を額にいただくと極楽浄土ができるといわれた。
おこもり【御籠り】
神仏に祈願するため、寺社にこもること。 「お父つあんに―‐をしてくるように言われました。(明烏)」
おこわ【御強】 一行あらすじへ
女房詞で強飯のこと。
おさん
女中。下女。とくに、飯炊き女。御三の間の御三から出た語とも。おさんどん。
おさんどん
女中。下女。飯炊き女。転じて、台所仕事。おさん。
おさんのま【御三の間】
江戸幕府奥女中の室名。転じて、そこに詰める女中の呼称。台所の掃除、水汲み、湯沸かしなどをつかさどる。
おしち【お七】 一行あらすじへ ⇒八百屋お七
おしょく【御職】
吉原の遊女屋で一番上位の遊女。 「―‐花魁を買わせるつもりで、(明烏)」
後には岡場所でもいう。「―‐女郎」
おしょくじょろう【御職女郎】
遊女屋で一番上位の遊女。お職。
おだいばなし【お題噺】
客席から題を出して貰ったり、借りた品物を洒落たりしてまとめた話。三題噺もこの類。
おだわら【小田原】
神奈川県南西部の一地区。東海道箱根越えの重要な宿場。
康正二年(1456)大森安楽斎入道が小田原城築城以来の城下町。
蒲鉾などの水産加工業で知られる。
おだん【お旦】
旦那の意。スポンサー。出資者。
おち【落ち】
落語で、最後に人を笑わせて結びとする部分。
重複する場合もあるが、「考え―‐」「逆さ―‐」「仕草―‐」「地口―‐」「仕込み―‐」
「途端―‐」「とんとん―‐」「ぶっつけ―‐」「間抜け―‐」「見立て―‐」などに分類される。
また、「梯子―‐」「回り―‐」などを分類に加える人もいる。
おちけん【落研】
落語研究会の略。天狗連。
おちゃをひく【お茶を挽く】
遊女や芸妓に客が付かず暇なこと。 「―‐ことが多くなってしまい、(お直し)」
おつ【乙】
甲で始まる順位の二番目。「甲・乙・丙」と書き、「こう・おつ・へい」または「きのえ・きのと・ひのえ」と読む。
音楽で、甲かんより一段低い音。「―‐な声」
転じて、洒落ていること。味なこと。風変りなこと。 「茶店が―‐でね。(崇徳院)」
おとぎしゅう【お伽州】
主君に仕え話し相手をつとめる役。
おとしばなし【落とし噺】
落ちのある噺。明治以降落語という。
おなおし【お直し】 一行あらすじへ
直しの丁寧な言い方。 「―‐してもらいなよ。(お直し)」
おなぎがわ【小名木川】
東京都江東区を東西に横断し、旧中川と隅田川を結ぶ一級河川。
江戸時代初期、徳川家康が開削させた堀割で、浦安から江戸へ塩を運ぶ運河であった。
おのさだくろう【斧定九郎】
仮名手本忠臣蔵の人物で、斧久太夫の子。
赤穂浅野家の家老で大野九郎兵衛の子、大野郡右衛門に擬す。
おのくだゆう【斧久太夫】
仮名手本忠臣蔵の人物。赤穂浅野家の家老で大野九郎兵衛に擬す。
おののこまち【小野小町】
平安初期の歌人で六歌仙の一人。
繊細であでやかな恋の歌が多く、美女の代名詞とされる。
百人一首に「花の色はうつりにけりないたづらに 我が身世にふるながめせしまに」
「―‐のおまるがあるんですってね。(王子の幇間)」
おはぐろ【御歯黒・鉄漿】
女房詞で 歯を黒く染めること。また、その材料。
鉄片をお茶などに浸して酸化させた液に、五倍子ふしと呼ばれる染料の粉をつけて歯に塗る。
上流婦人や公卿などが行い、江戸時代には既婚婦人が行なった。ふしがね。
おはぐろどぶ【御歯黒溝】
お歯黒液のように黒く濁っていたところから、江戸新吉原のまわりの溝。
「―‐の回りはいっぱいの人だかりで、(首ったけ)」
はしょり【御端折り】
女性が着物の丈を合わせるため、腰のあたりでたくし上げ、腰紐で締めること。
また、そのたくし上げた部分。
おはち【御鉢】
ご飯を入れておく木製の器。丸または楕円形の桶で蓋がある。おひつ。いいびつ。いびつ。めしびつ。
「―‐が回る」 「―‐を抱えて出て来るよ。(湯屋番)」
おはちがまわる【御鉢が回る】
順番がまわってくること。特に自分に有利な状況がめぐってきた時に言う。
おはらめ【大原女】
大原の里から薪などを頭に乗せて、京の都へ売りに来る女。黒木売。おおはらめ。
おひけ【御引】
遊郭で定められた閉店時刻。通常お引は午後十二時であった。
それを中引なかびけと呼び、大引おおびけと称してほぼ十一月から四月は一時、五月から十月は
二時頃まで営業する店があった。 「―‐というときになってみんなが着物を脱ぐと、(錦の袈裟)」
おひざおくり【お膝送り】
座った姿勢で、席を順に詰めること。客席が畳敷きの寄席で立ち見が増えてくると、
演芸と演芸の間に前座が客にお願いして前へ詰めて貰う。 「ご順に―‐を願います。(野ざらし)」
おひつ【御櫃】
おはち。いいびつ。いびつ。めしびつ。
おもてながや【表長屋】⇔裏長屋
裏通りに建っている長屋。また、棟割長屋の表通りに面した側。
おもと【万年青】
ユリ科の多年草。西日本山地に自生するほか、江戸時代から観賞用に栽培され、多くの品種がある。
おやかる
寄席の楽屋符丁で勃起の意。
おやぶね【親船】
艀船はしけぶねを使って人や荷物を運搬する大型の船。母船。
おりべ【織部】⇒ふるたおりべ
織部焼の略。 「―‐の香合、(錦明竹)」
おりべやき【織部焼】
桃山時代、現在の岐阜県土岐市で焼かれた陶器。古田織部の好みに従ったもの。
茶器や懐石に用いられる器が多い。
おんぎょく【音曲】
日本の伝統音楽。特に三味線の音楽をいうことが多い。
おんぎょくばなし【音曲噺】
下座の囃子を絡ませた落語。
おんごくぶぎょう【遠国奉行】
江戸時代、幕府の直轄地に置いた奉行の総称。
京都・大坂・駿府などの町奉行と、長崎・浦賀・兵庫・箱館・伏見・奈良・山田・堺・佐渡・新潟・日光・
下田・神奈川などの要地の奉行。
おんじょうじ【園城寺】
大津市園城寺町にある天台寺門宗の総本山。山号を長等山、通称三井寺と称する。
おんなかぶき【女歌舞伎】
江戸幕府成立前後に流行した女だけで演じる歌舞伎踊。出雲阿国いずものおくにの、阿国歌舞伎が発端。
多くは遊女が出演し、風紀を乱すとして寛永六年(1629)禁止となり、その後若衆歌舞伎が行われた。
おんまいのわたし【御厩の渡し】
おうまやのわたしの通称。
おんまいばし【御厩橋】
うまやばしの古称。
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