管理人は現在、洋ゲーを日本語化して日本で販売する、または国産ゲームの海外版対応を行う、という業務に従事しています。この仕事は「ローカライズ」と呼ばれています。このローカライズをするうえでは「翻訳」という作業が必須です。また、対象国の文化に合わせてコンテンツを追加ないし改変することを指す「カルチャライズ」なる用語も普及しつつあります。
この3種類の用語――「ローカライズ」、「カルチャライズ」、「翻訳」――を普段自分自身がどのように使い分けているか、あらためて振り返ってみました。特に「ローカライズ」は広範に及ぶ概念を含む用語であり、適切に使えているかどうか自信がない方もいるのではないでしょうか。そのような方はぜひご参考にしていただけると幸いです。
※あくまで管理人個人の定義です。コンテンツ産業以外での扱われ方や原義といったものは度外視しています。
※世界市場を意識したコンテンツ製作を指す「グローバリゼーション」なる用語もあります。が、ここでは触れません。
■ローカライズ(Localization)とは?
・元のバージョンとは別の対象地域に向けたパッケージを製作すること ・SKU(stock-keeping unit)の追加を伴う ・製作にかかわる全作業を含む包括的な用語 ⇒必然的に、カルチャライズ作業と翻訳作業も「ローカライズ」に内包される ・原則として、コンテンツの改変を伴う ・対象地域の規則や法令に基づいた改変も含む ・また広義では、個々の改変を指して「ローカライズ」と表現するのもアリ ⇒「グラフィックのローカライズ」、「ジョークのローカライズ」など ⇒ただしそれは比喩的表現であり、あくまで第一義は「海外版パッケージを製作すること」
■カルチャライズ(Culturization)とは?
・対象地域の文化に合わせてコンテンツの一部(または全部)を改変すること ・規則や法令への準拠ではなく、対象地域で共有されている風習、知識、価値観などへの対応 ・パロディーの参照先を変更することも含む ・「Culturalize」(カルチャラライズ)と綴る場合もある?
■翻訳(Translation)とは?
・言語を対象地域のものに置き換える作業 ・あくまで「言語」の改変のみを指す ・描き文字の改変も含む
抽象的にいうとこんなところでしょうか。
管理人が勤めているゲーム会社で最もよく見られるのが、「ローカライズ=翻訳」という誤解です。翻訳はあくまでローカライズの一工程であるため、「翻訳はローカライズである」は成り立っても「ローカライズは翻訳である」は成り立たない、というのが管理人の考えです。「リンゴは果物である」は成立するけど「果物はリンゴである」は成立しない、というのと同じ理屈ですね。
次に、いくつか具体例を挙げ、それらが「ローカライズ」、「カルチャライズ」、「翻訳」のどれにあてはまるかを考えました(複数選択可)。
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